福祉施設

【文例あり】介護施設におけるモニタリングを解説!モニタリングシートの文例まで紹介

介護現場におけるモニタリングは、利用者が快適に生活するために欠かせない業務のひとつです。

この記事ではモニタリングとアセスメントの違いから、モニタリングシートの書き方(文例)まで徹底的に解説します。

モニタリングシートの作成手順と評価文例

利用者のことがよりわかりやすく伝わるモニタリングシートは、どのように作成していくとよいのでしょうか。モニタリングシートについて書き方や記入例、活用例を解説します。

モニタリングシートの書き方・記入例

モニタリングシートには決まった様式があるわけではありませんが、書面は分かりやすく整理されたレイアウトにすることが大切です。モニタリングシートを書くに当たっては、誰が読んでもわかるように客観的な視点で記入しましょう。

【モニタリングシートの記入例】

記入日令和⚪︎年⚪︎月⚪︎日
担当者名⚪︎⚪︎ ⚪︎⚪︎
利用者名⚪︎⚪︎ ⚪︎⚪︎様
短期目標できる限り自力で入浴する
目標期間3カ月
サービスの内容浴室の床で滑る危険性があるため、湯船に入る際やあがる際にはスタッフが補助する
評価・手が届かない背面以外は、自力で洗うことができている
・入浴により清潔が保たれ、気持ちが明るくなることにもつながっている
今後の課題入浴習慣を継続する

評価文例

「評価」項目に関しては、最初はイメージが付きにくいですよね。

以下の例を参考に記入してみてください。

【入浴】

・洗髪は自力で行えますが、湯船からの立ち上がりが難しく、転倒の危険性があります。引き続き、ヘルパーによる浴室内でのサポートが必要です。

・入浴中の立ち上がりが難しく、浴槽内での転倒のリスクがあります。ヘルパーが浴室内での移動や立ち上がりを手伝い、安全な入浴をサポートしています。

【排泄】

・排泄の失敗により洗面所で衣服を洗うことがあります。自尊心に配慮し、入浴日などにまとめて回収し洗濯する取り組みが行われています。

・おむつの使用に伴い皮膚トラブルが発生したため、おむつ交換の頻度を増やしています。皮膚状態は改善しており、今後も清潔を維持する取り組みが続きます。

・夜間の排泄に関して、自分でコールを押す頻度が減少し、失禁が増えています。良好な睡眠を確保しつつ、失禁を避けるためにタイミングよい声掛けが必要です。

【食事】

・嚥下障害により食事の摂取が難しく、リクライニング型車椅子での食事を導入しています。食事の際は引き続き肺炎予防の注意が必要です。

・義歯の調整や虫歯治療が行われ、定期的なメンテナンスも希望されています。

【移動】

・膝の問題により歩行器を使用中ですが、整形受診によりヒアルロン酸注射で疼痛管理が行われています。今後も経過観察や医療機関との協力が必要です。

・歩行不安定によりコールマットが使用されていますが、ご本人が一人で動くことはほぼないため、コールマットの除去が今後の検討事項となります。

・歩行時は杖を使用しているものの、居室内での転倒経験があります。現在は痛みはないものの、今後も慎重なサポートが必要です。

【会話】

・「居室内のものを盗まれる」との思い込みから居室整理が難しい状態です。ご家族に協力を仰ぎ、サポートしていく必要があります。

・「ものを取られた」「意地悪をされた」などの思い込みがあり、一度言い出すと職員の声が通じないため、感情に寄り添い、傾聴することが大切です。

介護におけるモニタリングとは

まずは介護のモニタリングの目的や、介護におけるアセスメントとの違いを解説します。

介護モニタリングの概要

モニタリングとは「観察すること」を意味し、介護においてはケアマネジャー(介護支援専門員)の業務のひとつを指します。介護サービスにおけるモニタリングの内容は、ケアプランが実情に合っているか、そして利用者や家族のニーズが満たされているかを検証することです。

アセスメントとの違い

「評価・査定」を意味するアセスメントも、介護でよく使われる単語です。こちらもケアマネジャーの業務のひとつですが、モニタリングとは別のものを指します。

アセスメントは利用者が介護サービスを利用開始する前段階に、厚生労働省が定めるヒアリングポイント(課題分析標準項目)に沿って行われます。ヒアリングを通して、利用者が介護サービスに求める事柄を正確に把握することが目的です。

アセスメントは「ニーズの把握」、モニタリングは「サービス実施状況の把握」を目指すところに違いがあります。

アセスメント:利用者が求めるニーズの把握

モニタリング:サービスがきちんと実施されているかの把握

モニタリングの目的

モニタリングの目的は、アセスメントで作成されたケアプラン通りに介護サービスが提供されているか、ケアプランがニーズに合っているかを評価することです。介護利用者の健康状態や生活でのニーズは変化が早いため、モニタリングによってケアプランをブラッシュアップする必要もあります。

モニタリングを行う頻度の目安は、施設サービスの場合は3カ月に一度です。施設によっては毎月一度行うところもあれば、6カ月に一度のところもあります。

参照:厚生労働省「評価表活用の手引き

モニタリングでの確認項目

モニタリングでは確認・把握すべき項目がいくつかあります。ここでは5つにわけて解説します。

  1. ケアプランがきちんと実施されたか
  2. ニーズの充足度について
  3. 介護利用者の変化
  4. 介護利用者や家族からの要望
  5. 今後の介護の方向性

ケアプランがきちんと実施されたか

モニタリングでまず確認すべき事柄は、ケアプランが計画通り実施されたかどうかです。ケアプランを立てる際は、一般的に1~3カ月を目安とした短期目標と、半年~1年を目安にした長期目標を決めます。

モニタリングではこれらの目標がどの程度達成できたか確認してください。達成度が低い場合には原因を分析し、解決策を模索していきましょう。

ニーズの充足度について

ニーズの充足度とは、ユーザーの欲求・要求を満たした度合いのことをいいます。モニタリングではケアプランの遂行度合いだけでなく、結果としてどのくらい利用者や家族のニーズが満たされたのかも、合わせて把握することが大切です。

サービス利用開始当初と、それからしばらく経った後では、ニーズにズレが生じていることが珍しくありません。利用者や家族、介護サービスを提供する側とでニーズに対する認識が食い違わないようにするために、こまめに面談して聞き取りを行いましょう。

介護利用者の変化

介護利用者の健康状態や家族の状況は、日々目まぐるしく変化します。変化に合わせた適切なサービスを提供し続けるためには、健康状態や生活環境の定期的なチェックが必要です。

介護サービスの提供者は日頃から利用者を意識的に観察し、今までと異なる点がないか見逃さないことが求められます。気づいたことは些細なことでもメモに残す習慣をつけるのがおすすめです。利用者に変化が見られた場合は、面談などで改善策を提案しケアプランを調整しましょう。

介護利用者や家族からの要望

介護のモニタリングでは利用者や家族の要望を、うまく吸い上げることも重要です。状況などの変化の有無に関係なく、利用者や家族の要望は時間が経つにつれて変わることがあります。介護の現場では想像しなかった事態の発生も珍しくなく、それに伴って利用者や家族の考えが変化することも少なくありません。

要望が変化した場合にも利用者や家族が本音で話せるよう、日頃から信頼関係を築いておくことが大切です。

今後の介護の方向性

今後の介護の方向性を考えることが、モニタリングのゴールといえます。モニタリングの結果、介護利用者や家族の満足度が高ければ、ケアプランに大幅な調整は必要ありません。しかし、反対にあまり満足のいく結果ではなかった場合、ケアプランを大きく改善する必要があります。

また、モニタリングではサービスの精度を維持し続ける方法も考えなければなりません。介護では利用者が長期にわたって、サービスを利用し続けるケースが多いものです。利用者と家族の満足度を保つために、どのような方策を講じるべきかを合わせて考える必要があります。

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介護モニタリングのコツ

利用者や家族のニーズを満たすモニタリングをするためには、どうしたらよいのでしょうか。それでは、適切なモニタリングのためのコツを解説します。

介護現場を見てモニタリングする

モニタリングはケアマネジャーの仕事ですが、いつでもケアマネジャーが介護の現場にいるわけではありません。介護現場についての詳細な情報は、利用者や家族、そして実際に介護にあたるスタッフから聞くことになるかもしれません。しかし、聞き取りによる情報だけでモニタリングを行うと、適切な判断ができない恐れがあります。

サービスの利用や提供が長期間になると、利用者や家族、介護スタッフが慣れてしまい面談などで変化を尋ねても「特に変わったことはない」という返答が増える傾向があります。しかし、惰性で介護サービスの提供を続けていると、介護現場での事故発生の可能性が高まって危険です。

新鮮な視点を加えるという意味合いでも、ケアマネジャーが実際の介護現場を見てモニタリングしましょう。

ケアマネジャーと介護スタッフの連携

ケアマネジメントでは現場の介護スタッフからの情報や協力が役立ちます。ケアマネジャーと介護スタッフがうまく連携をとれていないとケアの効率が下がり、サービスの質にも悪影響が出てしまいかねません。

ケアマネジャーは介護スタッフと信頼関係を築き、日頃からスタッフによる情報を真摯に受け取る姿勢を持つようにしましょう。介護スタッフは利用者の様子や変化に目を向け、気づいたことがあればこまめにケアマネジャーに伝えることが大切です。

介護利用者との会話を大切に

モニタリングにおける介護利用者との会話では、いきなり質問することや否定文を多用すること、一方的に話を進めるのはNGです。利用者の中には話をするのがあまり得意でない人や、うまく内容をまとめて話すのに時間がかかる人もいます。

また、介護では利用者にとってデリケートな話題に触れなければならないこともありますが、そういった場合でも慎重に会話を進めなければなりません。利用者のペースに合わせた会話を続けることが、信頼関係の構築につながります。

モニタリングシートの作成

モニタリングを行った際は、結果を書面として残す必要があります。モニタリングに基づいて作成された書類をモニタリングシートと呼びます。モニタリングシートはケアプランの調整案を考える場合や、介護スタッフが交代する場合の引き継ぎに役立つ大切なものです。先述の例を参考に作成しましょう。

タイムカードの煩わしさから解放

モニタリングシートの活用例

モニタリングシートの活用例

モニタリングシートが適切に作成されていれば、ケアマネジャーや他の介護スタッフとの情報共有がスムーズになります。緊急時にも、モニタリングシートを元に医師や救急隊に適切な情報を提供することが可能です。利用者の家族に対しても、モニタリングシートを元に急な体調変化やリハビリの経過を報告できます。

また、モニタリングシートは在宅でのケアにも役立つものです。在宅サービスの場合には在宅サービス担当が置かれることもあり、複数人が関わるケアプランではモニタリングシートが大切な役割を果たします。介護では利用者一人ひとりの健康状態や生活環境が異なるため、きめ細やかなケアのためには正確な情報が欠かせません。

まとめ

モニタリングとは介護サービスがケアプランに沿って行われているか、介護利用者や家族のニーズを満たせているかをチェックすることです。モニタリングシートとはモニタリングの結果を書面にしたもので、複数人が関わるケアプランにおいての情報共有に役立ちます。

介護の現場ではモニタリングを始めとした、介護業務以外の作業も多く発生します。介護に注力するためには、介護外の作業は効率化するのがおすすめです。たとえば、介護現場での勤怠管理については、入退室管理システムを使うこともひとつの手です。

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