福祉施設

介護のICT化とは?対応可能な業務やメリット・デメリットまで解説

介護業界でもICT化が注目されており、導入している介護施設も増えています。しかし、ICT化することで、介護施設の運営がどのように変わるのか、導入前に把握しておきたいという人もいるでしょう。

IT?ICT?よく分からないし、なんだか大変そう…

この記事では、介護施設などでICT化を検討している人に向けてICT化の具体的な事例や、導入するメリット・デメリットなどを解説しているため、ぜひ参考にしてください。 テクノロジーや機械がニガテな方が多い施設でも簡単に導入できるものも紹介しています。

ICTとは何か?

そもそもICTとはどういう意味でしょうか。
ITという言葉の方が一般的ですが、違いはあるのでしょうか。

最初に「ICT」の意味について解説します。

そもそもICTとは?

ICTとは、「Information and Communication Technology」の略語です。日本では、「情報通信技術」という意味で使用されています。他にもIT技術をどのように活用していくのか、IT技術の活用方法を問う意味で用いられたり、情報・知識の共有・伝達などのようにIT技術を特定の分野に活かしたりと広範囲の意味をもっています。

介護業界でICT化を導入する介護施設が増えていますが、医療・教育業界などでもICT化が急速に進められています。

IoT(モノのインターネット)やITとの相違点

ICTと似たような言葉にIoT(アイオーティー)やITなどがあります。IoTは、「Internet of Things」の略語です。「モノのインターネット」と直訳されており、モノとインターネットが接続された状態や、接続するための技術を指しています。身近なものだと、自動運転技術や、温度センサー付きエアコンなどがイメージしやすいでしょう。

一方、ITは「Information Technology」の略語で、「情報技術」の意味で使われている用語です。「Communication(=通信)」という言葉が入る点がITとの違いですが、ITも通信を伴うことが多いため、大きな差はありません。ICTの方がより通信技術にフォーカスした意味合いで利用されます。

ITやICTの使い分けはかなり複雑な話になるので、「パソコンやスマホなど、機械やインターネットの技術を使うものなんだな~」と思っていただければ大丈夫です。

介護業界のICT導入支援事業の状況

介護ソフトを選定・導入する際のポイント集

厚生労働省が実施している「ICT導入支援事業」とは、ICTを活用して介護サービス事業所の業務の効率化を図り、スタッフの負担を軽減させることを目的にしている支援事業です。

厚生労働省の「介護現場における生産性向上に向けた取組」によると、ICT導入支援事業の実施状況は2019年度が15県・195事業所でしたが、2021年度は47都道府県・2,560事業所にまで増加しています。

また、ICTを導入した事業所の93%が介護ソフトを導入し、56%がタブレットを、27%が保守・サポートを介護現場で使用していることがわかりました。

介護業界でICT化が重要とされている理由

厚生労働省が介護現場でICT化を促進する支援事業を行っているように、介護業界ではなぜICT化が重要とされているのか、解説します。

介護を必要とする人口が増えている

厚生労働白書(20)|厚生労働省

介護業界でICT化が重要とされている1つ目の理由は、高齢化が進むことで介護サービスを必要とする人口の増加です。厚生労働省の「厚生労働白書」によると、2030年の日本の高齢化率は31.8%になり、国民の人口の約3人に1人が65歳以上になると報告しています。将来の高齢社会に備えるためには、今から介護業界のICT化を進めておく必要があります。

※参考:厚生労働白書(20)|厚生労働省

介護人材が不足している

介護人材の確保・介護現場の革新(参考資料)令和元年7月26日

介護業界のICT化が重要とされている2つ目の理由は、介護人材の不足です。日本が抱えている課題は高齢者の増加だけでなく、少子化による介護人材の不足も問われています。

厚生労働省老健局の「介護人材の確保・介護現場の革新(参考資料)令和元年7月26日」によると、2018年度の有効求人倍率*は全体が1.46倍で、介護関係の職種は3.95倍と高水準でした。人手不足の要因には、同業他社による人材の獲得競争が厳しくなっていることが挙げられます。

*有効求人倍率とは:求職者一人あたりの求人数。数値が多いほど、求人数に対して応募者が足りていないと言える。

簡単にまとめると、高齢者が増えているのに介護人材が減っているから、ICT化で穴埋めが必要、ということです。

介護業界でICT化を進める際のメリット

介護業界でICT化を進めると、実際にどのようなメリットを得られるのか、以下で解説します。

業務の効率化により介護スタッフの負担を軽減できる

介護スタッフの業務は、利用者や入居者への介護サービスに加え、事務作業などもこなさなければなりません。手書きやエクセルで書類作成をしている介護現場では、事務作業に時間がとられてしまうため、介護スタッフの負担が増える傾向にあります。介護システムを導入した場合、データの記録や管理などの事務作業の負担を減らせます

エクセルは難しい関数やマクロの知識が必要ですが、ICTを導入すれば簡単に素早く記録ができるようになります。

情報共有・データの連携を行いやすくなる

介護現場をICT化すると、情報共有やデータの連携がスムーズに行えるようになります。同グループの他の事業所・病院などと介護システムをつなげることで、迅速な情報・データの共有が可能です。

同グループの介護施設から病院に予約する際も、電話で空き状況を確認したり必要帳票を印刷したりする手間がなくなります。このようにICT化によって、各施設とも連携がとりやすくなります。

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介護業界でICT化を進める際のデメリット

介護現場でICT化を進めると業務の効率化などのメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。

ICTの導入にコストがかかる

ICT化のために、介護ソフトやタブレット端末などの必要なインフラ設備を導入するには、初期費用が必要です。さらに、導入後にインターネット回線などの通信費や、ソフトの保守管理などの維持費などのコストが発生します。

初期費用が0円のものや、月々5000円未満の低価格のものもあります。

低価格で業務効率を大きく上げるものを優先的に導入しましょう。

慣れるまでに時間がかかる可能性がある

最初は見知らぬ操作画面や、初めて見る形状に戸惑うこともあるかもしれません。ICT機器に慣れた若者に負担が偏らないよう、サポートや説明会などを活用しましょう。

慣れてしまえば今までの業務よりもかなり効率的になりますよ!

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ICT可能な介護業務・導入事例

介護現場にICT化を導入した場合、どのような業務を効率化できるでしょうか。実際にICT化を行った介護施設の声とともに紹介します。

帳票類への記録

https://care-wing.jp/

介護記録などの帳票類に記録する事務作業は、優先的にICT化を進めたい部分です。介護ソフトを導入すれば、介護記録をペーパーレス化できます。パソコンだけでなく、タブレットやスマホから記録を入力できるため、従来よりも事務作業にかかる時間の削減が期待できるでしょう。

また、介護記録だけでなく請求まで行えるソフトを活用すれば、経営者の管理の負担も軽減できます。

お持ちのパソコンやタブレットに導入するだけのものも多いため、低コスト・低負担で導入できます!

手書きの記録がなくなり、実働時間に余裕が出て来たという声や、わざわざ事務所へ出向いて記録用紙を提出する手間もかからなくなったというポジティブな意見をもらっています。実際のコスト(費用面)では、記録用紙代・ファイル代・保管場所にかかる費用等が削減でき、月初の恒例であった残業が3分の1程度に削減されことが良かったです。

導入事例「有限会社青空様」より

入居者の排せつサポート

https://dfree.biz/professional/

ICT化によって、入居者の排せつをサポートする業務の負担も軽減できます。介護度が高い入居者には、介護スタッフによる排せつ介助が欠かせません。しかし、排せつのタイミングは個人差もあり、予測するのが困難です。

入居者の排せつを予測して通知する器具を導入することで、入居者ごとに適切なタイミングで排せつの介助を行えるようになります。

尿意の訴えはあるが認知症のため頻回なことがあり職員も対応しきれずに困っていた
→DFreeデータを確認しつつ少し早い段階でトイレ誘導を実施することで立ち上がり時の失禁を減らすことに成功。また今まで食後にトイレ誘導を実施していたが取得したデータから食事前に変更したことでこちらも失禁回数を減らすことに成功した。

事例紹介「特別養護老人ホーム健生苑様」より

入居者の見守り

https://neoscare.noritsu-precision.com/

入居者の離床などの見守り業務も、ICT化によって効率化できます。見守りは、入居者がベッドから落下してケガをしたり、居室から出て徘徊してしまうのを防止するうえで重要な業務です。入居者がベッドから起き上がると介護スタッフに通知が送信される見守りロボットを導入すれば、入居者の事故防止や介護スタッフが定期的に居室を巡回する負担を減らせます。

間違えてユニットの外に行かれることがなくなった。
指定の巡回以外での訪室が減り、身体的な負担が少なくなった

ネオスケア導入事例より

スタッフ同士の情報共有・コミュニケーション

https://line.worksmobile.com/jp/solutions/long-term-care/

介護現場のICT化を進めると、介護スタッフ間の情報共有や、コミュニケーションが円滑に行えるようになります。介護ソフトと連携させたタブレットなどで介護記録などの情報をすぐに閲覧できるため、申し送りにかかる時間の削減も可能です。また、メッセージなどで情報共有や連絡がとれるシステムなら、スタッフ同士のコミュニケーションも活性化します。

LINEやChatworksなど、無料で導入できるものも多いです。特にLINEは入居者のご家族が利用していることも多いため、ぜひご検討ください。

当初、ITツールの取り扱いに不安があった社員からは反対の声があがりましたが、実際に使ってみると思った以上に簡単で便利なため、すぐに反対意見はなくなりました。電話の利用が減少し、同時に折り返し等の電話も減ったことで、業務効率がかなり向上しました。

導入事例「株式会社DREAM-SMART」より

勤怠・労務の一元化

入退室管理システム 入退くん FOR BUSINESS
https://nyutai.bpsinc.jp/biz/

スタッフの勤怠管理もICT化できます。普段の出勤・退勤をICT化することで、勤怠データがシステム上に蓄積され、勤怠管理や給与計算時のデータ集計の自動化も可能です。

帳票類の出力にも対応しており、帳票類の印刷が必要なときでもスピーディーに行えます。入退室管理システム「入退くん」なら毎月3,300円(税込)~利用できるため、ICT化の一歩としていかがでしょうか?

インクリボンやタイムカード用紙といった備品を定期的に購入しなければならないうえに、保管場所の確保も大変でした。
(入退くん導入後)「拠点在室者」を見ることで、職員が出勤できているかどうかをパソコンで確認することも出来るようになりました。データで入退出の記録が残るため、給料計算に関しても基幹システムと連携してほぼ自動で計算できるようになりました。

【利用者の声】明誠株式会社(オフィス)より

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介護業界でICT化を成功させるためのポイント

介護現場でICT化を成功させるには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。以下を参考にしてみてください。

ICT化で成功している他施設の事例を参考にする

ICT化を成功させるためには、すでにICT化で成功を収めている他施設の事例を参考にしましょう。どのようなシステムやツールがあるとよいのか、どのように活用できるのか、などの具体例がわかります。他施設の成功事例は、介護スタッフにICT化を進める際に、説明会や研修などの資料として利用できます。

ICT化の導入事例1.介護ソフト

介護ソフトと連携させたスマホを介護スタッフに持たせたことで、いつでも介護記録を作成できるようになったという事例です。気づいたときにスマホから記録を作成できるため、入力の抜けや漏れを未然に防ぎ、リアルタイムでの情報共有を可能にしています。

ICT化の成功事例2.見守りロボット

居室などに見守りロボットを設置した事例です。見守りロボットは、入居者がベッドから離床したり、普段と異なる呼吸状態などの異常がみられたりするなど、異常を検知して介護スタッフに通知してくれます。通知がないときは他の業務ができるため、介護スタッフの見守り業務の負担の軽減につながっています。

補助金制度を活用して、必要なシステムを導入する

介護現場のICT化には、「IT導入補助金制度」の利用がおすすめです。ICT化を進めるためには、初期費用や維持費などの高額のコストがかかりますが、補助金を活用すれば、導入時の負担を軽減できます。

たとえば、「複数社連携IT導入類型」のデジタル化基盤導入類型の要件に属する経費、消費動向等分析経費の補助上限額は3,000万円です。

補助率は、補助額や補助の種類によって異なります。たとえば、会計・受発注・決済・ECのいずれか1機能以上のシステムを導入する場合は、4分の3以内となっています。補助金の対象は、介護ソフトやクラウドサービス、タブレット端末、インカムなどです。

詳しくは一般社団法人 サービスデザイン推進協議会の公式サイトに記載されています。

※2023年分の申請は終了しています。

※参考:IT導入補助金:|一般社団法人 サービスデザイン推進協議会

まとめ

介護現場でICT化をすれば、事務作業や見守り業務などの効率化によって、介護スタッフの負担を軽減できるなどのメリットがあります。ただし、導入に抵抗がある方や、初期費用や維持費などに高額なコストがかかるものも多いため、低価格なものから徐々に導入しましょう。

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