「授業も保護者対応も任されるようになった。でも、この先どこまで年収は上がるのだろう」
塾の正社員として経験を積むと、塾長への昇進や、その先のキャリアが気になり始めます。責任が増えるなら、給与や働き方がどう変わるのかも知っておきたいところです。
中堅社員が確認したいのは、現在の給与と相場の差に加えて、「何を達成すれば、どの役職で、いくらまで上がるのか」です。
この記事では、雇用されて働く塾長・教室長を中心に、年収の実例と、収入を伸ばすためのキャリアの考え方を解説します。
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塾長の年収は?公式採用情報で見る給与の実例
塾長・教室長と、その先の役職を比較する
塾長の給与を調べる際は、募集年収とモデル年収を分けて見る必要があります。
募集年収は採用時に提示される給与の範囲、モデル年収は特定の役職や経験年数を想定した例です。
| 企業・採用区分 | 公開されている年収 | 数字の位置づけ |
|---|---|---|
| 株式会社Ohana・塾長職 | 480万円 | 経験3年のモデル年収 |
| 株式会社Ohana・エリアマネージャー職 | 680万円 | 経験5年のモデル年収 |
| 広島の明光義塾採用ページ・リーダークラス | 400万〜460万円 | 入社3年目のモデル年収 |
| 同・事業部責任者 | 500万〜560万円 | 入社5年目のモデル年収 |
| よつば個別指導塾・正社員〈教室長候補〉 | 400万〜500万円 | 初年度年収の提示 |
これらの実例から、年収500万円前後を考える際には塾長としての評価制度を、600万円以上を考える際には複数教室の管理職なども含めて確認するという調べ方ができます。
出典:株式会社Ohana「募集要項」、広島の明光義塾「採用情報」、よつば個別指導塾「採用情報」
※2026年10月29日確認。勤務地・採用区分・役職が異なるため、同一条件の比較ではありません。広島の明光義塾の例は、明光義塾全体に共通する給与条件ではありません。
「学習塾教師の平均年収」と「塾長の平均年収」は異なる
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、「学習塾教師」のページに年収442万円と掲載されています。
ただし、この数値は対応する職業分類の統計であり、塾長だけを集計したものではありません。サイトにも、その職業のみの統計とは限らないという注意書きがあります。
そのため、「塾長の平均年収は442万円」と読み替えず、業界を知るための参考値として扱いましょう。
同じ塾長でも年収に差がつく理由
1.役職名が同じでも、担当する仕事が違う
塾長・教室長という名称だけでは、責任の範囲は判断できません。
授業を担当しながら一教室を運営するのか、講師の採用や育成を中心に担うのか、他教室の支援まで担当するのかで、必要な経験は変わります。
求人票や社内の職務基準では、次の項目を確認しましょう。
- 授業の担当量と教室運営に使える時間
- 生徒数・売上・利益に対する責任
- 講師や正社員の採用・育成への関与
- 複数教室の支援や新規開校の担当有無
現在の自分と同じ仕事内容かどうかを確かめることで、給与の比較がしやすくなります。
2.成果が給与に反映される仕組みが違う
生徒数を増やしても、給与の上がり方は会社の制度によって異なります。
固定給の昇給に反映するのか、賞与で評価するのか、役職が変わるまで大きく上がらないのか。ここが分からないままでは、努力と収入の関係も見えません。
「成果を出せば評価する」という説明だけで終わらせず、評価項目・昇給額・評価時期を確認することが大切です。
3.給与を支払う運営会社が違う
同じ塾ブランドでも、運営会社が違えば給与や昇進制度が異なる場合があります。
比較するときはブランド名に加えて、雇用主となる法人名、勤務地、直営・フランチャイズの別を確認しましょう。別会社の年収例を、自社で実現できる給与として受け取らないことが大切です。
塾長として年収を上げるために、中堅社員が身につけたい力
教育の成果を、具体的に説明する力
普段の業務を一生懸命行うだけでは、評価者に成果が伝わりにくいことがあります。
担当した生徒の成績や学習習慣がどう変わったか。そのために何を工夫し、どの方法を他の講師にも共有できたかまで整理しましょう。
合格実績や点数だけでなく、宿題への取り組み、面談後の行動の変化なども、指導の改善を説明する材料になります。
教室の課題を数字で捉える力
教室運営を担うなら、売上の増減と、その理由を説明できるようにしておきたいところです。
| 指標 | 振り返るポイント |
|---|---|
| 問い合わせ数・体験数 | どの経路で関心を持ってもらえたか |
| 入塾率 | 体験授業や面談の改善が成果につながったか |
| 継続率・退塾理由 | 学習支援や保護者対応の課題は何か |
| 売上・教室利益 | 生徒数の増加が収益改善につながったか |
| 講師の定着・育成状況 | 安定した指導体制をつくれているか |
例えば、「入塾率が上がった」と伝えるなら、比較期間と対象件数も添えます。体験者が少ない月の改善と、年間を通じた改善では、実績の意味が異なるためです。
また、数字を追う際も、生徒に必要な学習支援を起点に考えましょう。無理な講習提案などで短期の売上だけを増やす方法は、保護者との信頼や継続に課題を残します。
自分以外の人が成果を出せるようにする力
複数教室を担うキャリアを考えるなら、自分の教室で成果を出した経験に加え、その方法を他の人に伝える経験が役立ちます。
例えば、保護者面談の進め方を共有する、新人講師の研修を整える、副教室長に業務を引き継ぐ、といった取り組みです。
昇進面談では、「自分が何をしたか」とともに、「誰がどこまでできるようになったか」を伝えましょう。
年収500万・600万円を目指すなら、昇進と転職をどう選ぶ?
現職で昇進を目指す場合
まずは上司との面談で、次の3点を確認します。
- 次の役職で任される仕事
- 昇格の条件と判断時期
- 昇格後の基本給・役職手当・賞与の目安
例えば、「次の評価までに講師育成と教室運営の何を改善すれば、塾長昇格の対象になるか」と聞くと、具体的な行動につなげやすくなります。
昇進条件が明確で、経験したい仕事も任せてもらえるなら、現職で実績を積む選択に意味があります。
他塾への転職を検討する場合
現在の役職では給与の上限に近く、次の役職の募集や昇格時期も見えない場合は、他社の条件を調べてみましょう。
転職先では初年度の年収だけでなく、翌年度以降の評価方法も確認します。
- 提示年収のうち、固定給と変動給はいくらか
- 賞与は何を基準に決まり、業績でどの程度変動するか
- 固定残業代がある場合、その金額と対象時間
- 入社時の役職と、担当する教室の状況
- 講習期を含めた勤務時間・休日
- 次の役職に進むための条件
年収が上がっても、勤務時間や担当範囲が大きく変わるなら、条件全体で判断する必要があります。
教室運営以外のキャリアを考える場合
教室長の先を考える際は、エリアマネージャーだけでなく、教務、教材開発、採用、研修、運営支援なども候補になります。
ただし、異動できる職種や必要な経験は会社によって異なります。「授業や教材づくりを深めたいのか」「人を育てたいのか」「事業運営に関わりたいのか」を整理してから、社内公募や求人を確認しましょう。
独立すれば、雇われ塾長より年収は上がる?
独立は収入を増やす選択肢の一つですが、会社員の年収と塾の売上は、そのまま比較できません。
経営者の場合、売上から講師人件費、家賃、広告費、教材費、本部への支払いなどを負担します。さらに、設備更新や生徒数が減る時期に備える資金も必要です。
開業を考えるなら、まず次の条件で資金計画を作りましょう。
- 何人生徒が集まれば、毎月の支出を賄えるか
- 生徒募集が計画を下回った場合、何カ月運営を続けられるか
- 借入返済後に、生活費としていくら確保できるか
- 自分が授業や面談を担当できない場合、どう運営するか
教室長として利益管理や採用・育成を経験しておくことは、独立を判断する材料にもなります。
中堅社員が今から進めたい、3カ月のキャリア整理
1カ月目:給与と実績を整理する
基本給、手当、賞与、残業代を分け、現在の年収が何で構成されているか確認します。
同時に、直近1年の指導実績、教室運営の改善、講師育成の経験を振り返りましょう。数字を使う場合は、比較期間や自分の担当範囲も記録します。
2カ月目:昇進条件を確認する
上司と面談し、次の役職に必要な経験と評価時期を確認します。
「もっと頑張る」という目標から、「次の評価までに何を達成するか」という目標に変えることがポイントです。
3カ月目:現職と他社の条件を比較する
現職で期待できる給与と仕事内容を、同じ地域・近い担当範囲の求人と比較します。
すぐに転職を決める必要はありません。希望する年収と働き方に近づくために、今の会社で何を経験するか、外でどんな選択肢を探すかを判断しましょう。
教室運営を効率化し、生徒対応や講師育成の時間をつくる
教室の成果を高めたいと思っても、日々の確認作業や保護者対応に追われ、改善に手が回らないこともあるでしょう。
中堅社員のうちから取り組みたいのが、繰り返し発生する業務の見直しです。例えば、生徒の入退室の記録や、勤怠記録、保護者の「うちの子到着してますか」などの電話対応は、システムの活用を検討できる業務の一つです。
入退室管理システム「ビヨンド入退くん」は、生徒の入退室を記録し、保護者への通知に活用できます。このビヨンド入退くんひとつでスタッフの勤怠管理・勤怠申請もでき、集計データを給与システムに連携させることも可能です。
業務負担を削減することで、生徒への学習支援や講師育成に時間を振り向けやすくなります。業務改善の経験は、塾長になった後の教室づくりにも役立つでしょう。
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大場元騎(学習塾経営者)
経歴:東京都内にて学習塾2校の立ち上げ・経営
「ビヨンド入退くんは保護者の安心はもちろん
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