待機児童問題の解消が叫ばれる中、当の学童保育では人手不足やキャパオーバーの声がたびたび挙がっています。せっかく指導員になった方でも、すぐに辞めてしまうことも多いです。
ではなぜ、学童指導員が続かないのでしょうか?
今回はその理由やそもそも低賃金はなぜ解消されないのか、現場(自治体)ですぐに対応できることは何か、徹底的に解説していきます。
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学童保育指導員とは
学童保育指導員とは、学童で働く職員全体のことを指します。子どもと関わるだけでなく、保護者や自治体など各関係者との連携も業務内容に含まれます。
放課後児童支援員との違い
放課後児童支援員は有資格者の指導員で、学童保育施設内に児童40人程度に対して2名以上配置する必要があります(ただし、人材を確保できない場合は、2人のうち1人は、支援員のサポート役となる補助員の配置が認められる)。所定の条件(保育士資格保有など)を満たし研修を修了することで、放課後児童支援員の資格を得ることができます。
2015年から義務化された放課後児童支援員の配置義務により、ただでさえ人手不足な現場で有資格者の確保が難しいという点も課題となっています。
(参考:厚生労働省「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」)
補助員との違い
「補助員」とは、主に資格のない指導員を指します。2015年に学童保育の専門資格として「放課後児童支援員」が新設され、その資格を持たない学童保育従事者を「学童保育指導員」と分けて呼ぶようになりました。
学童を管轄する自治体に申請し、面接などの選考を経て学童で働くことができます。
学童保育の指導員が続かない主な理由
「子どもが好き」「日本の未来に貢献したい」などの希望を抱いて学童指導員になっても、すぐに辞めてしまう人が後を絶たない状況です。
では、なぜ続かないのか、5つの要因から見てみましょう。
給料が低い
学童指導員が続かない理由として一番大きいのは「給料が低い」という点でしょう。東洋経済オンラインのアンケート結果でも、「指導員として働くうえで困っていること、悩んでいること」で最も多かったのが「待遇」でした。
厚生労働省によると、学童保育指導員の平均年収は394.3万円。民間の学童は公立よりも給料が高い傾向にありますが、それでも高収入は目指しにくく、不満を抱く人も多いです。公立はさらに後述する構造上の問題があり、特に給料が上がりにくいと言われています。
国や自治体からの補助金が出ることもありますが、昇給額は月に数千円程度と、人材不足の改善としては足りないのが現状です。
職場の雰囲気に合わない
学童保育には職歴の長い職員が多く、「その輪の中に入っていけない」「離れた世代と考え方が合わない」「昔の価値観に凝り固まっている」という理由で辞めてしまう若者も多いです。学童を私物化したような態度や、少しのミスをくどくど責める態度は、新任の方が続かない原因になります。
子どもの命に関わる責任が重い
学童保育指導員になって初めて、子どもの命を預かる重さに気づく場合もあります。それを覚悟して引き受けた場合でも、待機児童問題解消に向けた受け入れ人数の増加により「子どもの安全を確保しきれない」と悩んでしまい、自分には適性がないという無力感が続かない原因になっています。
子どもと向き合う時間がない
学童保育指導員はただ子どもと接するだけではありません。事務作業や保護者の対応、自治体との連携やイベントの企画など、業務内容は多岐にわたります。そのため、研修などで子どもと向き合うことの重要性を学んだにも関わらずその時間が取れず、「向いていない」と感じる方も多いのです。
働きづらい勤務時間
学童保育指導員にはパートタイマーの募集も多いです。しかし、主な勤務時間が放課後であるのに対し、子どもの送り迎えや夕食の準備があるパート主婦(主夫)層は午前~昼間の仕事を探していることが多く、働き手が見つかりづらいという状況があります。大学生のアルバイトを募集していることもありますが、学業やサークル活動が優先であるため、勤務日が不定期になりがちです。
その結果、志を持って働き始めた方でも、自身の生活との両立が難しくなって続かなくなるということもあります。
学童保育指導員の給料が低い要因
公営の学童はむしろ赤字
公営の学童においては特に、賃金上昇が構造上難しいという問題があります。「令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業」によると、公営公設(自治体運営)の学童は平均収益に対して平均費用が上回っており、賃上げがすぐにできる状況ではありません。理論上は利用料を引き上げて運営に充てる費用も引き上げることで賃金上昇が叶うと言えそうですが、地域からの反発を考えると現実的とは言えません。
民間の学童もギリギリの経営
民設民営の学童においても、また「令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業」によると、民設民営の学童でも利益率が平均5.6%と低く、人件費上昇はすぐには難しい状況です。そもそも学童指導員全体の賃金が高くないことから賃金上昇に踏み切れる経営者は多くないでしょう。公立の学童と比較してもともと5~10倍ほどの利用料がかかることから、これ以上の利用料の引き上げも考えにくいのです。
国が学童保育運営の現状を重く受け止めて補助金や制度全体の見直しを図ることで賃金上昇が叶うことが理想ではありますが、数十年以上変わらない問題が今すぐに解決すると願うのは残念ながら現実的ではありません。
学童保育指導員の定着率を上げるために今できること
先ほど紹介したように、学童保育指導員が続かない原因は待遇以外にもあります。賃金上昇が見込めないなかでも、賃金以外の労働環境を改善することで人材が離れる原因を減らすことも可能です。
不慣れでも見守る
職歴の長い職員が多い学童において、「仕事に慣れていない人」の感覚を忘れてしまっている方も多いでしょう。そのため小さなミスに過敏になったり、「向いてない」「やる気あるの?」などと心ない言葉をかけられると、新任職員は余計にプレッシャーを感じてしまいます。
「こんなの出来て当たり前」とは思わず、不慣れな新任職員をそっと見守るという姿勢も、指導員が続かない問題を解消するための一歩になるはずです。
学童向け配達サービスを活用する
学童によっては、労働時間外にお菓子の買い出しが発生することもあります。
現在は通販で学童向けの大容量お菓子パックが購入できたり、長期休暇向けに昼食の宅配サービスとの連携をしている学童もあるため、ぜひ検討してみましょう。
たとえば東京都江東区では、保護者主体の宅配弁当制度を導入し、弁当を作って持たせるか宅配サービスを利用するかを保護者が選んで利用できる仕組みになっています。(参考:江東きっずクラブにおける保護者主体の宅配弁当の導入について)
ITツールの活用で業務効率化を図る
子どもと向き合う時間を確保するためにも、自動化できる部分を自動化していくことも重要です。
たとえば入退室管理システム「入退くん」は、子どもが学童に入室・退室したときに二次元コードをかざすことで、保護者に写真付きの通知が届きます。
入退くんは月額基本料3,300円(+61名以上の場合1ユーザーあたり55円)のみで利用でき、初期費用やシステム維持費などは一切かかりません。そのため、予算を抑えながら業務効率化ができ、作業人員を増やさずとも子どもと向き合う時間を増やすことができます。
入退くんを導入している学童の声を一部ご紹介します。
その日の利用有無が保護者に確実に伝わるようになりました。
複数あて先を登録できるため、お父様・お母様の負担が偏ることも、お迎えが重複してしまうこともなくなりました。
【利用者の声】銀のスプーン(学童保育)
1か月の入退出がボタン1つでCSVデータで集計できるようになったため、手書き出勤簿とエクセルへの再入力の手間が省けました。
給与計算の際に間違いを防ぐことができるため、とても助かっています。
【利用者の声】思考力キッズクラブ(学童保育)
入退くんは民間の学童だけでなく、自治体単位での導入実績も豊富です。自治体向けの資料やサポートも行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
以下は区内全域の学童で入退くんを導入している、東京都江東区の職員の声です。
児童の入退室が写真付きのメールで保護者の方に通知されるため、電話対応の負担が軽減したことで子どもと接する時間が格段に増えました。また、それらの入退室記録は自動集計され、データはCSVでダウンロード可能。さらに手入力での加筆修正もできるため、作業工数もミスも大幅に減少しました。
今まで書面で行っていた申し込み手続きもシステム内の登録フォームで完結でき、保護者の方への連絡も一斉送信できるなど、職員・保護者双方に嬉しい改善となりました。
【利用者の声】東京都江東区(学童保育)
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「学童指導員が続かない問題」はできることから対処
- 給料が低い
- 職場の雰囲気に合わない
- 子どもの命に関わる責任が大きい
- 子どもと向き合う時間がない
- 働きづらい勤務時間
今回紹介したように、学童指導員が続かないという問題は待遇以外にも存在します。賃金改善問題は複雑かつ国単位の大きな問題であるため、せめて「賃金よりもやりがいのために頑張りたい」という人材が離れないためにも、自治体や施設単位でできることから始めてみませんか?
先述の通り、入退室管理システム「入退くん」を導入したことで業務改善につながり、職員・保護者双方の満足度向上に貢献できたという学童はたくさんあります。
個別オンライン説明会も開催しておりますので、現場の労働環境改善を通じて「学童指導員が続かない」という課題を解決させたい職員の方はぜひお気軽にご参加ください。