介護のICT化とは?対応可能な業務やメリット・デメリットまで解説

介護業界でもICT化が注目されており、導入している介護施設も増えています。しかし、ICT化することで、介護施設の運営がどのように変わるのか、導入前に把握しておきたいという人もいるでしょう。この記事では、介護施設などでICT化を検討している人に向けてICT化の詳細や導入するメリット・デメリットなどを解説しているため、ぜひ参考にしてください。 

ICTとは何か?

ICT化を進める前に、ICTとはどのような意味があるのか、詳細を確認しておくことが大切です。

そもそもICTとは?

ICTとは、「Information and Communication Technology」の略語です。日本では、「情報通信技術」という意味で使用されています。他にもIT技術をどのように活用していくのか、IT技術の活用方法を問う意味で用いられたり、情報・知識の共有・伝達などのようにIT技術を特定の分野に活かしたりと広範囲の意味をもっています。

介護業界でICT化を導入する介護施設が増えていますが、医療・教育業界などでもICT化が急速に進められています。

IoT(モノのインターネット)やITとの相違点

ICTと似たような言葉にIoTやITなどがあります。IoTは、「Internet of Things」の略語です。「モノのインターネット」と直訳されており、モノとインターネットが接続された状態や、接続するための技術を指しています。

一方、ITは「Information Technology」の略語で、「情報技術」の意味で使われている用語です。ICTは、情報通信技術の活用方法や、人とインターネットを結びつけていることから、IoTやITとの違いが明白です。

介護業界のICT導入支援事業の状況

厚生労働省が実施している「ICT導入支援事業」とは、ICTを活用して介護サービス事業所の業務の効率化を図り、スタッフの負担を軽減させることを目的にしている支援事業です。

厚生労働省の「介護現場における生産性向上に向けた取組」によると、ICT導入支援事業の実施状況は2019年度が15県・195事業所でしたが、2021年度は47都道府県・2,560事業所にまで増加しています。

また、ICTを導入した事業所の93%が介護ソフトを導入し、56%がタブレットを、27%が保守・サポートを介護現場で使用していることがわかりました。

介護業界でICT化が重要とされている理由

厚生労働省が介護現場でICT化を促進する支援事業を行っているように、介護業界ではなぜICT化が重要とされているのか、理由を解説します。

介護を必要とする人口が増えている

介護業界でICT化が重要とされている1つ目の理由は、高齢化が進むことで介護サービスを必要とする人口の増加です。厚生労働省の「厚生労働白書」によると、2030年の日本の高齢化率は31.8%になり、国民の人口の約3人に1人が65歳以上になると報告しています。将来の高齢社会に備えるためには、今から介護業界のICT化を進めておく必要があります。

※参考:厚生労働白書(20)|厚生労働省

介護人材が不足している

介護業界のICT化が重要とされている2つ目の理由は、介護人材の不足です。日本が抱えている課題は高齢者の増加だけでなく、少子化による介護人材の不足も問われています。

厚生労働省老健局の「介護人材の確保・介護現場の革新(参考資料)令和元年7月26日」によると、2018年度の有効求人倍率は全体が1.46倍で、介護関係の職種は3.95倍と高水準でした。人手不足の要因には、同業他社による人材の獲得競争が厳しくなっていることが挙げられます。

介護業界でICT化を進める際のメリット

介護業界でICT化を進めると、実際にどのようなメリットを得られるのか、以下で解説します。

業務の効率化により介護スタッフの負担を軽減できる

介護スタッフの業務は、利用者や入居者への介護サービスに加え、事務作業などもこなさなければなりません。手書きやエクセルで書類作成をしている介護現場では、事務作業に時間がとられてしまうため、介護スタッフの負担が増える傾向にあります。介護システムを導入した場合、データの記録や管理などの事務作業の負担を減らせます。

情報共有・データの連携を行いやすくなる

介護現場をICT化すると、情報共有やデータの連携がスムーズに行えるようになります。同グループの他の事業所・病院などと介護システムをつなげることで、迅速な情報・データの共有が可能です。

同グループの介護施設から病院に予約する際も、電話で空き状況を確認したり必要帳票を印刷したりする手間がなくなります。このようにICT化によって、各施設とも連携がとりやすくなります。

介護業界でICT化を進める際のデメリット

介護現場でICT化を進めると業務の効率化などのメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。

ICTの導入にコストがかかる

ICT化のために、介護ソフトやタブレット端末などの必要なインフラ設備を導入するには、高額な初期費用が必要です。さらに、導入後にインターネット回線などの通信費や、ソフトの保守管理などの維持費などのコストが発生します。小規模な介護事業所でさまざまな設備を整えようとすれば、経営が圧迫される可能性があります。

個人情報が漏えいするリスクがある

介護現場のICT化を進めると、個人情報が外部に漏えいするリスクが高まります。介護ソフトを導入して事務作業を行う場合、利用者や入居者の個人情報を登録しなければなりません。

また、個人情報の取り扱いを間違えれば情報が漏えいし、介護事業所は社会的な信用を失う恐れがあります。ですので、情報漏えいを未然に防止するために個人情報保護のガイドラインを策定して全スタッフに教育しましょう。

ICT化が可能な介護業務

介護現場にICT化を導入した場合、どのような業務を効率化できるのか、確認しておきましょう。

帳票類への記録

ICT化が可能な介護業務は、介護記録などの帳票類に記録する事務作業です。介護ソフトを導入すれば、介護記録をペーパーレス化できます。パソコンだけでなく、タブレットやスマホから記録を入力できるため、従来よりも事務作業にかかる時間の削減が期待できるでしょう。

また、介護記録だけでなく請求まで行えるソフトを活用すれば、経営者の管理の負担も軽減できます。

入居者の排せつサポート

ICT化によって、入居者の排せつをサポートする業務の負担も軽減できます。介護度が高い入居者には、介護スタッフによる排せつ介助が欠かせません。しかし、排せつのタイミングは個人差もあり、予測するのが困難です。

入居者の排せつを予測して通知する器具を導入することで、入居者ごとに適切なタイミングで排せつの介助を行えるようになります。

入居者の見守り

入居者の離床などの見守り業務も、ICT化によって効率化できます。見守りは、入居者がベッドから落下してケガをしたり、居室から出て徘徊してしまうのを防止するうえで重要な業務です。入居者がベッドから起き上がると介護スタッフに通知が送信される見守りロボットを導入すれば、入居者の事故防止や介護スタッフが定期的に居室を巡回する負担を減らせます。

スタッフ同士の情報共有・コミュニケーション

介護現場のICT化を進めると、介護スタッフ間の情報共有や、コミュニケーションが円滑に行えるようになります。介護ソフトと連携させたタブレットなどで介護記録などの情報をすぐに閲覧できるため、申し送りにかかる時間の削減も可能です。また、メッセージなどで情報共有や連絡がとれるシステムなら、スタッフ同士のコミュニケーションも活性化します。

勤怠・労務の一元化

介護現場のICT化は、勤怠・労務などの業務を一元管理できます。勤怠管理システムや労務管理システムの連携により、介護スタッフの勤怠データや個人情報などのデータ・情報を一元化できるため、管理しやすくなります。帳票類の出力にも対応しており、帳票類の印刷が必要なときでもスピーディーに行えます。

介護業界でICT化を成功させるためのポイント

介護現場でICT化を成功させるには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。以下を参考にしてみてください。

ICT化で成功している他施設の事例を参考にする

ICT化を成功させるためには、すでにICT化で成功を収めている他施設の事例を参考にしましょう。どのようなシステムやツールがあるとよいのか、どのように活用できるのか、などの具体例がわかります。他施設の成功事例は、介護スタッフにICT化を進める際に、説明会や研修などの資料として利用できます。

ICT化の導入事例1.介護ソフト

介護ソフトと連携させたスマホを介護スタッフに持たせたことで、いつでも介護記録を作成できるようになったという事例です。気づいたときにスマホから記録を作成できるため、入力の抜けや漏れを未然に防ぎ、リアルタイムでの情報共有を可能にしています。

ICT化の成功事例2.見守りロボット

居室などに見守りロボットを設置した事例です。見守りロボットは、入居者がベッドから離床したり、普段と異なる呼吸状態などの異常がみられたりするなど、異常を検知して介護スタッフに通知してくれます。通知がないときは他の業務ができるため、介護スタッフの見守り業務の負担の軽減につながっています。

補助金制度を活用して、必要なシステムを導入する

介護現場のICT化には、「IT導入補助金制度」の利用がおすすめです。ICT化を進めるためには、初期費用や維持費などの高額のコストがかかりますが、補助金を活用すれば、導入時の負担を軽減できます。

たとえば、「複数社連携IT導入類型」のデジタル化基盤導入類型の要件に属する経費、消費動向等分析経費の補助上限額は3,000万円です。

補助率は、補助額や補助の種類によって異なります。たとえば、会計・受発注・決済・ECのいずれか1機能以上のシステムを導入する場合は、4分の3以内となっています。補助金の対象は、介護ソフトやクラウドサービス、タブレット端末、インカムなどです。

詳しくは一般社団法人 サービスデザイン推進協議会の公式サイトに記載されています。

※参考:IT導入補助金:|一般社団法人 サービスデザイン推進協議会

まとめ

介護現場でICT化をすれば、事務作業や見守り業務などの効率化によって、介護スタッフの負担を軽減できるなどのメリットがあります。ただし、初期費用や維持費などに高額なコストがかかるため、補助金制度などを活用しましょう。

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