経営を成功させるには、業界全体の現状を正しく把握し、今後の動向に考えを巡らせることが重要です。
今回は塾業界の市場規模などのデータを分析・解説し、学習塾経営の今後を考察していきます。
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塾業界とは
塾とは、義務教育課程または高等教育以上の課程にある児童・生徒に対して、学習・進学指導を行う教育施設です。教育施設といっても公教育とは別で、私的な教育システム、すなわち会社として経営されています。「日本標準産業分類」でも、現代の学習塾は以下のように定義づけられています。
小学生、中学生、高校生などを対象として学校教育の補習教育又は学習指導を行う事業所
総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」
『学校教育の』とあるように、学校教育範囲外の技術習得を目的とした習い事は含みません。
学習塾の分類
塾の指導方法は、集団指導、個別指導、自律学習、映像授業の4つが一般的です。それぞれメリット・デメリットがあるため、きちんと理解したうえでターゲット設定をしましょう。
特徴 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
集団授業 | 学年や成績に応じて編成されたクラスに対して授業を行う | ・授業内容や進行が標準化されているため、多くの生徒に効率的に指導可能 ・利益が出しやすい | 個別の理解度に合わせたフォローが難しい |
個別指導 | 講師が1人または少人数(通常1~3人)に対して指導を行う | 生徒のペースに合わせて進められるため、理解が深まりやすい | 費用が高い反面アルバイト講師が多いため、指導の質にバラつきがある |
自律学習 | 生徒が自分のペースで学習を進め、塾は必要に応じて指導や助言を行う | ・生徒一人あたりのコストが少ない ・自主性が育まれる | もともとモチベーションが低い生徒は成績向上が難しい |
映像授業 | 講師の授業を録画した映像を見ながら学習する | ・生徒のペースで進められるため学校行事や部活動と両立しやすい ・聞き取れない箇所をリピートできる | もともとモチベーションが低い生徒は成績向上が難しい |
指導方法で分けるほかに、塾の目的でも進学塾、補習塾、総合塾、専門塾の4種類に分けることができます。これら全てのタイプを総合した業界全体が、塾業界です。いずれも公教育ではなく、塾によって指導スタイルや理念、通っている子どもの目的などが異なります。
進学塾とは
進学塾とは、中学・高校・大学の入学試験に特化した塾のことをいいます。塾に通う生徒に入学試験を突破させることが、進学塾の第一の目的です。入試から逆算をした最適なスケジュールに基づき、学校よりも早い進度で学習が進められます。
補習塾とは
補習塾とは、学校の成績、あるいは受検の折に必要になる内申点を上げるための指導が行われる塾です。つまり、学校の授業に合わせて補習を行うのが主な役割といえます。内申点とは進学予定先の学校に届けられる文書で、入試の結果を左右することもあります。
総合塾とは
進学塾と補習塾、両方の役割を兼ねそなえた塾を総合塾と呼びます。総合塾のなかでは多くの場合、学力別のクラス分けが行われているため、子どもたちは目的に応じて違った内容の授業を受けるのが一般的です。
専門塾とは
専門塾とは、特定の科目に特化した指導を行う塾です。例えば東大入試専門塾、英語科目塾などのほか、ロボットやプログラミングなど学校で指導のないクラスを開講する塾もあります。一部、中学受験専門、個別指導専門といったものも専門塾と呼ばれます。
塾業界の市場規模
塾業界の売上高推移
学習塾の2022年の売上高は5549億円と、過去5年で1000億円以上伸びています。
加速する少子化により学習塾業界の売上低下が予測されていた一方、現状としては売上は増加し市場規模は拡大し続けています。(参照:経済産業省 特定サービス産業動態統計調査)
要因①子ども一人あたりの学習費が増加
子どもの数が減少しているにもかかわらず市場規模が拡大している要因として、子ども1人あたりにかける塾費が増加していることがあげられます。
近年は特に幼稚園児~小学生の子どもにかける塾費が大幅に増加傾向です。都心を中心に「お受験」の波が広がり、さらに受験対策の開始時期も早まっています。
要因②学習内容のレベルが向上
ゆとり教育が終了し学習内容のレベルが上がっていることなども、塾業界全体が伸びている理由でしょう。中学生で学ぶ英単語数が2倍近くになったことも記憶に新しいです。
このような背景もあり、学校の授業についていけない生徒やそれを危惧する保護者の増加によって学習塾のニーズが高まっていると考えられます。
要因③個別指導塾の増加
集団指導に比べて個別指導の塾が生徒数を伸ばしていることも要因の1つです。個別指導塾は集団指導塾よりも費用が高額になる傾向があり、売上の数値が上がりやすくなります。
塾業界の現状から見る今後の動向
市場規模などのデータから、塾業界の「いま」そして「これから」について分析してみました。
塾業界の市場規模拡大の裏で倒産増加も
実は学習塾の倒産が増加しています。学習塾業界の市場規模が拡大しているとはいえ、参入しやすい状況とは言えない状況です。2024年上半期だけでも倒産塾数は26件にも達し、業界の負債総額も過去最高となりました。(参照:東京商工リサーチ)
倒産の要因の多くは「販売不振」。市場のニーズが多様化する一方、資金力のある大手のように柔軟な対応ができず、淘汰されてしまった塾が多いと考えられます。
大手塾に顧客が集中
大手企業は資金力と蓄積されたノウハウをもとに、最新の学習システムの開発や広告の展開ができます。それにより合格実績や知名度を伸ばすことができるため、顧客視点でも大手塾は魅力的なのです。
さらに学習塾業界は近年、人件費の増加と少子化によりM&Aが相次いでいます。以下はその一例です。
- 市進ホールディングスが茨城県内に特化した高い進学実績を誇る茨進を買収し、茨城県内でのプレゼンスを拡大
- ベネッセホールディングスが英語教室を展開するミネルヴァインテリジェンスを買収し、需要が高まる語学学習事業を拡大
中小規模の塾にとっても大手塾の傘下に入ることで資金力が増加し、多様化するニーズに応えられるようになるなどメリットがあります。
今後もM&Aによる大手集中は加速し、新たに塾を開業する人も大手塾のブランドやノウハウをフル活用できるフランチャイズに加盟する動きが加速するでしょう。
勉強動画やアプリと顧客を奪い合う
学習塾の競合はもはや塾業界に留まりません。現在は学校の授業の復習や受験対策になる動画が、インターネットで無料で視聴できます。以下はその一例です。
さらに外出自粛に伴うオンライン授業アプリなどの需要は、アフターコロナの現在でも衰えずにニューノーマルな勉強法になりつつあります。
講師の不足がより深刻な課題に
今後は少子化に伴う講師不足がより問題視されるでしょう。そのうえ個別指導の需要が増加しているため、必要な人員を確保するのがより難しくなります。
加えて、そもそも学習塾は離職率が高い業界です。
塾経営者がすぐにできる対策としては、講師が不要な映像授業を取り入れる、保護者対応を減らせるシステムを導入する(入退室通知システムや連絡帳システムなど)といったことが挙げられます。
また、これから開業を考えている人は、登録講師数の多いフランチャイズを選ぶと採用にかかるコストや失敗リスクもグッと抑えられます。
学習塾のDX・IT化
学習塾のDX・IT化の波に乗れていますか?「ITとかニガテだし教育に関係ない」と無視し続けていると、塾業界のトレンドに置き去りにされ、時代遅れの塾になってしまいます。
【学習塾のIT化事例】
- Z会:個別の学習到達度を判定しニガテを潰すAI学習システムを開発・導入
- 茨進ほか:生徒の入退室を保護者に通知する入退室管理システムを導入
生徒管理やお金の管理といった塾経営に欠かせないものから、塾費請求や入退室通知といった保護者の利便性に関わるものまで、塾向けのシステムはいまや多く提供されています。
最低限、同じ地域内の競合塾が導入しているシステムは忘れずに導入しましょう。
塾業界で生き残るためには
前項で取り上げた塾業界の現状・今後の動向予測を踏まえて、これからの塾経営の生存戦略を紹介していきます。
塾のIT化を進める
塾のIT化と聞くと、教育AI賞を受賞した「トライ式AI学習診断」や、日本e-Learning大賞を受賞した「atama+」のようなものを想像する方も多いでしょう。しかし、はじめはもっとシンプルな業務効率化システムで、手作業で行っていた部分の自動化から進めることをおすすめします。
特に保護者の利便性に関わるものは入塾率や退塾率に関わってくるため、優先度高く検討しましょう。低価格ですぐに導入できるものも多いため、ぜひ試してみてください。
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やはり機能がシンプルなためか料金も安く、経営の負担もグっと減りました。
以前使用していたシステムはオプションが多く、システムとして重たかったので、それと比較するとシンプル設計な「入退くん」はとても使いやすいです。
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地域や時代に合った集客戦略を取る
生徒の奪い合いがまだ激化していない地域では、個人塾は地域に根差した形で集客できる可能性があります。その際、ターゲットとなる地域の保護者がどのように塾を選びどのようなプラットフォームで比較・検討しているかを調査することが重要です。
たとえば「時代に合った集客」といえばSNSやWeb広告などインターネットを活用した手法が思い浮かびますが、地域情報誌や自治体が連携している地域ポータルの方が効率的に集客できる場合もあります。
フランチャイズから始める
先述の通り、学習塾業界はすでに大手の資金力とブランド力で勝負する時代になりつつあります。しかしフランチャイズ経営なら大手のブランドや集客ノウハウ、莫大な資金力に裏付けられた最新システムなどをフル活用できます。
特に安定した経営ができると評判なのが、CMでもおなじみの「トライプラス」のフランチャイズ。抜群の知名度と好感度は、全国どこに出店しても強みになります。
トライプラスのフランチャイズはとにかくサポートが豊富!
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- 30万人以上の講師が登録!採用の負担も軽減
- 独自のAI学習プログラムで生徒の成績しっかりアップ
まずはさまざまな資料を取り寄せて、自分に合ったフランチャイズ本部を検討しましょう。
まとめ
塾業界にはさまざまな塾の形態があります。参入しやすいが継続が難しいといわれる塾業界で、経営を軌道に乗せるためには、ブランディングや教科内容のほかに、利便性の高いシステムの導入も必要です。
塾経営において、職員の負担を軽減し保護者の安心も高めたいなら、入退室管理システム 入退くんのご利用をおすすめします。入退くんは、月額1人あたり55円の業界最安価格が魅力です。生徒はQRコードをかざすだけで手早く入退室ができ、保護者には入退室の記録が写真付きのメールで送られます。
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大場元騎(学習塾経営者)
経歴:東京都内にて学習塾2校の立ち上げ・経営
「入退くんは保護者の安心はもちろん
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