自宅教室には、教室への移動が必要ないので効率よく時間を使えたり、好きなことや趣味を仕事にできたりするなどのメリットがあります。この記事では、自宅教室を開講したい人に向けて、自宅教室を始める手順について解説します。教室の種類に合わせたリフォームの方法や自宅教室で起こりやすいトラブルの例と対策方法についても述べるので、参考にしてください。
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自宅教室を開講する手順
自宅教室を開講するときには、計画を立てて順序良く準備を進める必要があります。それぞれ詳しく解説します。
教室のコンセプトを決め、スケジュールを立てる
自宅教室を開講する場合、最初に教室のターゲット層を決めてからどのような教室にするかコンセプトを決定します。自宅教室を開講すれば、個人事業主とはいえ経営者です。教室を開講する目的や方向性、ビジョンなどは言語化して明確にする必要があります。経営理念や経営戦略についても決めておきましょう。
開講するまでの資金を準備する
続いて、教室の運営や開講にかかる費用を算出します。資金計画は、収支計画を立てた上で立案しましょう。収支計画は、銀行から融資を受ける場合や教室を借りる場合の審査で必要です。自宅教室の運営は、赤字にならないように受講料や入会金の設定が重要です。
毎月の受講料は、開講後の当面の運営費用が明確になってから決定します。受講料は、周囲にある同じジャンルの教室の月謝を参考にします。
開講に必要な書類を準備する
自宅で教室を開講する場合、個人事業主扱いとなるため、納税する税務署に「個人事業主の開業・廃業等届出書」の提出が必要です。パン教室や料理教室などで、作った料理を持ち帰ったり、販売したりする場合は保健所の許可が必要になる場合があります。保健所の許可を得るためには、設備に関する要件を整えなくてはなりません。
必要な設備をそろえる
続いて、教室運営に必要な設備を整えます。料理教室やパン教室などであれば、調理設備や作業スペースが必要です。また、食品を扱う場合は、清潔な環境が欠かせないため、場合によってはリフォームが必要になるでしょう。
英会話教室や塾などの自宅教室を運営する場合は、黒板代わりのホワイトボードのほか生徒の人数に合わせて机、椅子などを発注しなくてはなりません。英会話教室や塾の場合、机や椅子などの大型の備品と併せてテキスト類も発注しておきましょう。
子どもやお年寄りの生徒を想定している場合は、入退室管理システムの導入も検討しましょう。手軽に導入できてご家族にも安心していただけます。実際に導入した教室の事例はこちら。
退出がご家族の方に通知されるようになったので、対応がスムーズになりました。お子様からご高齢の生徒様までいらっしゃるので、保護者やご家族の方に入退室が通知されるのは安心できるようです。
【利用者の声】日向書道教室(習い事)より
受講者を募る
教室に必要な備品やテキストが揃ったら、受講者を募集します。受講者の募集方法は、広告やSNS、知人の紹介、口コミなどがあります。広告を出す場合は、地域のフリーペーパーやタウン誌を活用しましょう。SNSでは、TwitterやInstagramなどで告知する方法があります。地元の人に受講してほしいなら、駅前や商店街などでチラシを配るのも効果的です。
リフォームの例
教室を開講する場合、教室の状態や教える内容によってはリフォームが必要になる場合もあります。リフォーム例を2つ紹介します。
料理教室を開講する場合
料理教室を開講する場合、清潔な環境のためのリフォーム以外にキッチン設備の見直しも兼ねてリフォームを行う場合があります。料理教室では受講生が周囲を囲めるアイランドキッチンが適しています。アイランドキッチンへリフォームすれば、複数の受講生相手でも教えやすくなるでしょう。
ピアノ教室を開講する場合
ピアノ教室を開講する場合、プライベート空間とレッスン場所を分ける以外に、近所や家族への防音対策のために部屋の遮音効果を上げるリフォームが必要になります。ピアノがある部屋の遮音性能は、ピアノの音が小さくあるいは、かすかに聞こえる程度のD-50〜55にしましょう。
防音対策は、防音カーテンや吸音材を取り付けたり、防音室を設置したりする方法があります。天井や床、壁やドアなどは防音性能が高い建築材を使いましょう。
自宅で教室を開講する際の注意点
自宅で教室を開講する場合は、家族の生活が脅かされたり、家族が規制を受けたりしないように注意が必要です。
プライベート空間をしっかりと分ける
自宅で教室を開講する場合は、家族が心置きなくくつろいだり、食事をしたりできるようにプライバシーが保たれる間取りを優先します。トイレや出入り口、収納などは教室スペースと家族スペースを分けましょう。分けるスペースが無い場合や増築が難しい場合は、清潔に保ち、家族に迷惑が掛からないような配慮が重要です。
また、自宅教室は不特定多数の人が出入りするため教室以外の部屋には立ち入らせない、施錠をしっかりするなど、防犯面でも気を付けましょう。
家族の理解をきちんと得る
自宅教室は、一緒に生活する家族に負担がかかったり影響が出たりするので、家族の理解を得てから開講の準備を進めましょう。家族が反対したり嫌がったりした場合は、無理に進めません。また、家族からの同意を得られた場合でも、計画の途中で状況報告や相談をしっかりと行いましょう。
自宅教室に関連するトラブル例と対策
自宅教室を開講する場合、生徒や近隣住民とのトラブルに見舞われる場合があります。トラブル例と対策について解説します。
例1.月謝の滞納や入会金の未払い
生徒からの入会金や初月の授業料の支払いがないまま受講開始になり、未払いのトラブルに見舞われるケースがあります。授業当日に手持ちがない、次のレッスンで忘れずにもってくるなどと言われて支払いが滞る場合もあります。また、申し込みをしたのにいつまで経っても振り込まれないからとキャンセル扱いにすると後々トラブルに発生する可能性もあります。
月謝の滞納や入会金の未払いの場合の対策方法
月謝や入会金を開講日が過ぎても持参しないトラブルには、前払い制にして入会金や月謝の支払いがないうちは参加ができないように対策しましょう。また、入会金には期日を設けて、キャンセルポリシーを契約書に盛り込めばトラブルに発展しにくくなります。手渡し以外に、口座振替やクレジットカード決済などの支払い方法を取り入れれば未払いも減らせます。
例2.特別扱いを求められる
受講中の生徒から、「マンツーマンでレッスンをして欲しい」「別日にレッスンをして欲しい」などの要望が出る場合があります。自宅教室に限らず、自分だけ特別扱いをしてほしいと願う人は多いものです。特別扱いを1度だけだからと受け入れてしまうと、ほかの生徒から不満が出たり、要求がエスカレートしていったりする可能性もあります。
特別扱いを求められる場合の対策方法
生徒からの要望のうち、受け入れられるものと受け入れられないものをしっかりと決めて線引きをする必要があります。その上で、受け入れられない要望に関しては生徒から特別扱いを打診されても、きっぱりと断りましょう。
また、特別扱いのトラブルを防ぐためにも契約内容は事前に決めておきます。レッスンに関する規約は、弁護士や司法書士などのプロに相談しながら実務的な契約書を作成します。規約は、レッスンポリシーとして盛り込み、生徒にも契約時に共有しましょう。
例3.周辺住民とのトラブル
ピアノ教室やギター教室など楽器を使う教室は、周辺住民の迷惑になる場合があります。また、塾やそろばん教室など子ども向けの教室は子どもの自転車や送迎待ちの車などが道路にはみ出すトラブルが起こる可能性もあります。
周辺住民とのトラブルの対策方法
自宅教室を開講する際には、教える内容にかかわらず近所の住人に挨拶を済ませておきます。トラブルを未然に防ぐためにも、教室に来る移動手段やお迎えの時間などを規約や契約に盛り込みます。また、子ども向けの教室では専用の駐輪場や駐車場を用意しましょう。
例4.物の破損、盗難
自宅を教室にした場合、プライベートエリアや家族の部屋のものが無くなったり、壊れたりする可能性があります。不特定多数が出入りするため、生徒が金銭や貴重品の盗難トラブルに遭う可能性も考えられます。
物の破損、盗難の対策方法
不特定多数が出入りする自宅教室は、室内で生徒を待つのではなく玄関で生徒の受け入れとお見送りを済ませて、教室以外の部屋に出入りさせないようにしましょう。プライベートな部屋には鍵をつければ防犯性も高まります。生徒の金品が盗難に遭うトラブルを未然に防ぐために、鍵付きロッカーを用意したり貴重品の持参を禁止したりする対策も必要です。
例5.子どもの到着確認
小学生の生徒がレッスンの時間に現れない場合、保護者の方に連絡をすると思います。しかし、なかには毎回子どもの到着を確認するために電話をかけてくる保護者もいて、他の生徒のレッスンが中断されてしまうこともあります。
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私が電話で連絡をしなくても、生徒が教室に着いたことを保護者自身で確認できるようになりました。他の講師の実際のレッスン稼働が履歴に残って確認ができるようになり、講師のタイムカード(出勤カード)代わりにもなっています。
【利用者の声】アマービレ音楽教室(習い事)より
自宅教室におすすめの職種
自宅教室を開講したいけれどどの職種が向いているか悩む人も多いでしょう。自宅教室におすすめの職種を2つ紹介します。
料理教室やパン教室
料理教室やパン教室は自宅のキッチンを活用できるので、自宅教室におすすめの職種です。料理が好きな人にとっては、趣味と仕事を兼ねられるメリットもあります。料理教室やパン教室のためのテナントを借りる場合は食品衛生責任者の資格が必要ですが、自宅教室では不要です。また、飲食店ではないためレシピを教えるだけなら食品営業許可も必要ありません。
少人数の学習塾
学習塾は、人数を絞った少人数タイプを選べば自宅教室の開講が可能です。少人数の学習塾は、大人数の塾とは違い生徒の個性に合わせて柔軟な対応ができる強みを前面に押し出せるでしょう。指導の質の高さや指導の丁寧さも強みの1つです。自宅で教室を開講すればテナント契約の手間も省けるだけでなく、開講にあたって資格や保健所の許可取得の必要もありません。
英会話教室の開業についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
自宅教室を開講する際には、まず教室のコンセプトを決め資金を調達し、必要な設備の準備を済ませてから、生徒を募集します。自宅教室は家族の理解が欠かせません。教室と家族が過ごすスペースを分けて、教室以外には立ち入らせないようにしましょう。
生徒や近隣住民とのトラブルに遭わないためにも、キャンセルポリシーやレッスンポリシーを規約に盛り込んだり、専用の駐輪場を用意したりするなどの対応も必要です。
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