天候や立地の都合でお外遊びができないと、子どもたちの運動不足が心配ですよね。室内でおとなしく遊べる年齢でも、連日運動不足が続くとストレスも溜まってしまいます。かといって体育館を使用できない学童もありますし、道具をすぐに用意できない場合もあるかと思います。
今回は学童で3年間勤務していた筆者が、学童における室内遊びのアイデアをシーン別に紹介していきます。

(元スタッフ)
今回も、元学童スタッフが経験と知識を元に執筆しました!

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学童保育における「室内遊び」の役割
学童保育における「室内遊び」には、ただ子どもたちを飽きさせないという他にも、たくさんの役割があります。
社会性が育まれる
「遊び」にはルールがあり、子どもたちはそれらを理解し守ることで社会性を身に着けていきます。
一人で留守番をしている子どもと比較すると、学童に預けられている子どもは他の子どもたちと関わりあう時間がかなり多いです。学童での遊びは、譲り合ったり教えあったりといった社会性が育まれるチャンスであると言えます。
また、さまざまな種類の遊びのルールを知識として得ることで、学童外でもコミュニケーションを広げるきっかけに繋がります。

(元スタッフ)
「お留守番」という選択では得られない経験の一つですね!
知的好奇心を刺激する
学童保育における「遊び」、特に「室内遊び」には知的好奇心を刺激するものが多いです。
「どうしたらオセロで勝てるのか」「磁石でくっつくものとそうでないものの違いは何か」といった自発的に考える力や、独創的な発想を養うことができます。

(元スタッフ)
ご家庭では用意できない量のおもちゃや本もありますし、学年クラスも飛び越えた仲間との交流も学童で過ごすメリットです。
指導員への信頼が深まる
指導員が子どもたちと一緒に「遊び」を楽しむことで、子どもたちは指導員を信頼します。
信頼できる指導員がいることで、子どもたちは学童を「楽しい場所」だと認識し、保護者の方の安心と信頼にも繋がります。

(元スタッフ)
友人関係を築くのがニガテな子どもも、指導員と楽しく遊べれば「学童は楽しい場所」と認識するようになりますよ!
雨の日でも身体を動かせる
「室内遊び」は、雨の日でも子どもたちが身体を動かして遊ぶことができます。
外で遊べない日の過ごし方が読書や勉強ばかりになってしまうと、運動不足でストレスを溜めてしまう子どもも多いです。
指導員は室内遊びのバリエーションを複数持っておくと良いでしょう。

(元スタッフ)
「外で遊べない」ことをマイナスに捉えられない過ごし方ができるのがベストです!
【シーン別】室内遊びのアイデア集
ここからは、子どもたちが室内で楽しく過ごせる遊びを、シーン別に紹介していきます。
必要な人数も併せて紹介しているので、参考にしてくださいね。
道具不要の遊び
道具などの特別な準備なしで遊べるものを紹介します。
急な雨の日でもすぐに遊べるため、複数覚えておくと良いでしょう。
〇〇しりとり(2人以上)

しりとりは、子ども同士でも定番の遊びであるため、説明の手間なく取りかかることができます。基本的には最後の文字が「ん」の回答や、すでに回答されたワードを発言すると負けです。
単なるしりとりだと際限がなく飽きてしまうので、文字数制限を設けた「3文字しりとり」や、テーマを絞った「お母さんあるあるしりとり」「学童にあるものしりとり」など工夫をすると良いでしょう。
「尻2文字取り」
最後の2文字をとってしりとりをする。最後から2番目の文字が「ん」になったら負け。
例)しり”とり”→とりのから”あげ”→あげまんじ”ゅう”→ゆうえ”んち”(負け)
「外来語禁止しりとり」
日本語のみでしりとりをする。最後の文字が「ん」、または外来語を使用したら負け。
例)しりとり→りんご→ゴリラ(負け)

(元スタッフ)
定番遊びのしりとりも、バリエーションを持っておくとマンネリ化を防げます。
子どもにルールを考えてもらうのも盛り上がりますよ!
山手線ゲーム(古今東西ゲーム)(2人以上)

こちらも定番のゲーム。最初に「動物の名前」「色の名前」などのお題を決め、そのお題に沿ったワードをリズムに合わせて回答していきます。
お題に沿わない回答をしたり、すでに回答されたワードを発言した人、リズムから著しく外れた人が負けです。
1. 回答順とお題を決める(お題は前回のゲームで負けた人が決めるのが一般的)
2. 一人が「山手線ゲーム!」と声をかけ、全員で「いえーい!」と言う
3. 最初の回答者がお題に沿った回答をし、全員で「パンパン」と手をたたく
4. 次の回答者が回答し、全員で「パンパン」と手をたたく
5. テーマに該当するワードがなくなるか、負けが出たら終了

(元スタッフ)
リズムから外れた回答に関しては、「〇秒以内に回答すればセーフ」など厳しすぎない制限を設けるとみんなで楽しむことができます。
〇〇クイズ(2人以上)

クイズも、子どもの知識欲を刺激する人気の遊びです。
早く手を挙げた人が回答権を得られる「早押しクイズ」や、人数問わず盛り上がる「二択クイズ」など、子どもを飽きさせないバリエーションを用意しておくと良いでしょう。
「私は誰でしょうクイズ」
「私は〇〇です」と”あるもの”の特徴を紹介し、その”あるもの”が何かを当てる。
例)「私はよく土を触っています」「私は靴下と仲良しです」「私にはマジックテープやヒモがついています」
→答え「靴」
「複数回答クイズ」
あえて正答が複数あるクイズを出し、より多くの正答を出せた人が勝ち。
「朝までそれ正解」
最初の文字を決め、その文字で始まるもので「〇〇なもの」を参加者全員が回答する。
参加者の多くが正解だと思う回答を話し合いで決める。
※正解の基準は「納得」だけでなく「面白さ」などでも可
例)「『な』で始まる、食べられないものは?」「『あ』で始まる、宿題を早く終わらせるコツは?」

(元スタッフ)
知識を問う問題よりもその場で考えて答えを出す問題の方が、知識の有無に依存せず全員で楽しめます。
普段テレビやインターネットのクイズ番組を見る際に、ついでにネタ探しするのも良いですね。
だるまさんの一日(3人以上)

誰もが知る「だるまさんが転んだ」のバリエーションです。
「だるまさんが転んだ」では振りむきと同時に動きを止めるのに対し、「だるまさんの一日」では指定されたテーマで瞬時に動きを作ります。
子どもたちが思い思いの動きをその場で考えて行う、笑いが生まれやすいゲームです。
●鬼
1. だるまさんが転んだと同様に鬼を決め、鬼は壁に向かう
2. 「だるまさんが〇〇した!」の掛け声をしたと同時に振り向く
例)「だるまさんが絵を描いた」「だるまさんが顔を洗った」
3. 指定した〇〇の動きに合わない動きをしているメンバーを指名し、手をつなぐ
4. 2~3を繰り返す
●鬼以外
1. 鬼が「だるまさんが」と言っている間に鬼に向かって歩く
2. 鬼が「〇〇した」と言って振り返った瞬間に、その〇〇の動きをする
3. 1~2を繰り返しながら鬼に近づき、タッチする
タッチ後は、普段のだるまさんが転んだと同じルールで進める。

(元スタッフ)
だるまさんが転んだよりもマンネリ化しづらく、また鬼になりたがる人も多いため、1種目で何回戦も続けられます。
なんでもバスケット(4人以上)

保育園などでもおなじみの、「フルーツバスケット」のバリエーションです。「フルーツバスケット」よりも少ない人数から行うことができます。
1. 1人が真ん中に立ち、それ以外のメンバーが椅子を内向きの円状に並べ、座る
2. 真ん中の1人がテーマを叫び、そのテーマに合った人が立って移動する
例)「今日テレビを見た人」「筆箱がピンクの人」
3. 今度は、椅子に座れなかった人がテーマを叫ぶ

(元スタッフ)
「フルーツバスケット」がフルーツの名前を1人1つ担当するのに対し、こちらはその時のお題に該当する人が動くため臨機応変さが問われます。
とっさにテーマが浮かばない子もいるので、そのときは「他の人と同じでも大丈夫だよ」と声かけしてあげるとみんなで楽しめます。
猛獣狩りにいこうよ(6人以上)
リーダーが発言したワードの文字数分の人数で、グループを作るゲームです。大人数でやるほど盛り上がるので、ぜひ全学年合同でやってみてくださいね。
1. リーダーを1人決める
手をたたきながら、リーダーの掛け声に呼応するように、その他のメンバーで以下の掛け声をする
♪ エイホッホ エイホッホ(エイホッホ エイホッホ)
♪ 猛獣狩りに行こうよ(猛獣狩りに行こうよ)
♪ 怖くなんかないよ(怖くなんかないよ)
♪ だって鉄砲持ってるもん(だって鉄砲持ってるもん)
♪ 槍だって持ってるもん(槍だって持ってるもん)
♪ あ!(あ!)
♪ あ!(あ!)
※掛け声は動画を視聴すると分かりやすいです。動画のように振り付けを付けても良いですね。
2. リーダーが動物の名前を叫び、その他のメンバーはその動物の名前の文字数分の人数でグループを作る
例)アリ→2人 アリクイ→4人
3. グループを作れなかった人が負け

(元スタッフ)
大人数で行う場合、負けた人が不参加になっていく勝ち抜き戦にし、最後に残った人を勝ちとするのもありです。
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作って楽しむ遊び
子どもたち自身でおもちゃを工作し、遊ぶこともできます。
遊びを通して独創性を養うことができ、指導員も思わず驚くようなアイデアに出会えるかもしれません。
糸電話(2人以上)

糸電話は、糸と紙コップを用意するだけで制作可能です。
紙コップに色を付けたり、折り紙を合体させたりと工夫させることで、子どもの創作意欲を刺激できます。
1. 2つの紙コップの底にキリで穴を開ける
2. タコ糸を通して繋げ、抜けないように結ぶ

(元スタッフ)
糸をピンと張るのが、声を通しやすくするコツです。
ただ、最初は敢えて子どもに伝えず、「もっと聞こえやすくするには?」と自発的に考えるきっかけを与えるのも良いでしょう。
魚釣りゲーム(2人以上)

魚釣りゲームもゲームとして楽しめるだけでなく、子どもの独創的なアイデアが活かせる遊びです。
お絵描きが好きな子はもちろん、魚の種類に詳しい子も得意を活かせます。
1. 魚を作る
画用紙に魚の絵を描き、ハサミで切ってクリップをつける
2. 釣り竿を作る
50cm~1mほどの糸を用意し、片方に磁石、もう片方に持ち手になる棒(鉛筆や木の棒)を巻きつける

(元スタッフ)
「釣り竿同士が近づくとくっついてしまう」「魚本体ではなくクリップに触れると釣りやすい」など子どもたちが自発的にコツを掴んでいくことで、科学的な学びを得られます。
いつどこでゲーム(4人~5人)

「いつ」「どこで」「誰が」「何をした」に当てはまる言葉を1人1つ書き、文章を作るゲームです。「誰と」「なぜ」「どのように」などを追加することで5人以上でも遊ぶことができます。
1. 画用紙や牛乳パックを5cm四方ほどの大きさに切る
2. 1を4枚作成し、それぞれ「いつ」「どこで」「誰が」「何をした」と書く
1. 上記で作成したカードを1人1枚受け取る
2. 別に紙を用意し、カードに書かれた言葉通り紙に書く
例)「いつ」→おととい 「どこで」→学童で 「誰が」→校長先生が 「何をした」→鬼ごっこをした
3. それぞれが書いた紙を見せ合い、文章を完成させる

(元スタッフ)
「一度出たワードは禁止」といったルールを設けることで、子どもたちの発想力や想像力が養われます。
陰口などに繋がる場合は、「お友達の名前を書く場合は、今いっしょにいるメンバーのみ」などの制限を付けると良いでしょう。
体育館でできる遊び
雨の日でも、体育館がある学童の場合は思いっきり身体を動かすことができます。そのなかでも鬼ごっこやドッジボールといった遊びは定番です。しかし、運動が苦手な子にとっては苦痛な時間になってしまうことも。
ここからは、運動神経や年齢による体格差を問わずに楽しめる体育館遊びをご紹介します。
いろはにこんぺいとう(3~6人)

身体を動かせるだけでなく、頭の体操にもなる遊びです。縄跳びを使用するゲームですが、縄跳びが苦手な子でも楽しむことができます。
1. 縄跳びを2本用意し、縄担当2人で端を持つ
他のメンバーは縄跳びに背を向ける
※大きな環状のゴム紐でも可
2. 縄跳びを持つ2人が縄跳びを上下左右に自由に振りながら、「♪いろはにこんぺいとう 上か下か真ん中か」と掛け声をかける
→「真ん中か」のタイミングで縄跳びの高さや幅を固定する
3. 他のメンバーは「上」「下」「真ん中」いずれかを回答してから縄跳びの方を振り返る
「上」→2本の縄跳びの上をまたぐ
「下」→2本の縄跳びの下をくぐる
「真ん中」→2本の縄跳びの間を抜ける
縄跳びに触れた人が負け
※「小指1本使用して縄を動かすのはOK」などのルールを設ける場合もあります。

(元スタッフ)
屋内外問わず遊べる、子どもたちに人気の遊び。
運動経験が無くても楽しめるので、いろはにこんぺいとうを知って外遊びが好きになった子もいます。
田んぼの田(3人以上)

「鬼にタッチされたら鬼になる」という、基本ルールは鬼ごっこと同じです。
脚の速さが勝敗に影響しにくいため、運動神経に自信がない子でも楽しく遊べます。
体育館に5m四方前後の「田」の字状にテープを貼る
※床にラインが描かれている場合はそれを利用しても可
1. 鬼は「田」の字の線上のみで動く
2. 鬼以外は「田」の中の四角形4面のみの中で動き、線を踏んではいけない
(線をまたいで移動するのは可)
3. 鬼にタッチされたメンバーは追加で鬼になるか、鬼を交代する

(元スタッフ)
体育館に描かれているラインを利用すれば、準備なくすぐに遊ぶことができます。
「田」の字だけでなく、他の文字でアレンジも可能です。
追いかけ玉入れ(5人以上)

身長差に関係なく楽しめる玉入れです。
段ボール、ヒモ(スズランテープなど)、玉入れの玉(お手玉でも可)
メンバーを2チームに分ける
1. 段ボールにヒモをくっつけ、1人が引っ張る
2. 他のメンバーは逃げる段ボールに玉を入れる
3. 制限時間内に自分のチームの色の玉が多く入ったチームが勝ち

(元スタッフ)
追いかけ玉入れは籠を背負って行うものが一般的ですが、小学生が相手なので籠が子どもの顔の位置になってしまい、危険です。
教室内でできる遊び
体育館がない場合でも、教室でみんなで楽しめる遊びはたくさんあります。
将棋やオセロ(2人)
意外にも、子どもたちは脳を鍛えながら集中力も養えるボードゲームが好きな子が多いのです。花札や百人一首といった、大人からしたら一見「渋い」「古めかしい」カードゲームも、小学3~6年生の子ども達の間で流行することがあります。
有名なゲームは、ルールを知っているだけでも学童外でのコミュニケーションの幅が広がるなどのメリットもあります。
大人にも難しい将棋は子ども用に駒の動きが書かれたものが販売されているため、購入を検討しても良いでしょう。

(元スタッフ)
お恥ずかしながら私は将棋ができないのですが、子ども達から「先生、これならできるんじゃない?」とスタディ将棋を持ち掛けられていました。
トランプ(2人以上)
トランプは、少人数でも大人数でも遊ぶことができます。
定番の「ババ抜き」から、2人で遊べる「スピード」、みんなで遊べる「7並べ」「ポーカー」「ぶたのしっぽ」「大富豪」まで、人数に応じてさまざまなゲームを提案できると雨の日でも困りません。

(元スタッフ)
どんどん新しい遊びを覚えてくるので、スタッフも覚えるのが大変です!
ジェスチャーゲーム(3人以上)

室内で安全に身体を動かせる遊びであるだけでなく、子どもの発想力や表現力が養われる遊びです。
お題は指導員が決め、ジェスチャー担当と回答担当を子どもに任せることで、公平に楽しむことができます。
風船送り(3人以上)

風船を落とさないようにゴールまで運ぶ遊びです。椅子はなくてもかまいません。
「風船を触るのは1人1回まで」「風船を掴んではいけない」「パスは股の下から」など、縛りを考えてもらいながら行うことで、子どもの発想力を鍛えることもできます。
また、サッカーのように2チームに分かれても盛り上がるでしょう。
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複雑なルールの遊びはアレンジする
複雑なルールの遊びは、発達段階や子どもたちそれぞれの理解力によって解釈が異なってしまい、喧嘩の原因にもなってしまいます。
シンプルにアレンジしたり、下級生にはハンデを与えたりと、工夫をすると良いでしょう。
体格差に左右される遊びは避ける
学年の垣根を越えて遊ぶ場合は、体格差によって結果が左右されるものは極力避けた方が良いでしょう。
特に体育館がなく小さな教室で遊ぶ場合は、上級生が下級生にぶつかって怪我をする恐れがあるものも危険です。
指導員が常に全体を見渡せる状況を維持する
「だるまさんが転んだ」の鬼など、指導員が子どもたちから目を離さざるを得ない状況を作るのも、極力避けましょう。
また、指導員自身が子どもとの遊びを全力で楽しむことも大切ですが、熱中しすぎて周りが見えなくなるという事態は望ましくありません。あくまで指導員として、子どもの安全に深く注意しながら楽しみましょう。
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(元スタッフ)
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