勤怠管理に用いられるタイムカードですが、正しく運用するにはどのような点に注意すべきでしょうか。
ここでは、タイムカードの運用ルールを決める際の注意点から、従業員にルールを順守させるコツまで詳しく解説します。ルールの一例も紹介するため、タイムカードを使った勤怠管理に役立ててください。
タイムカードの運用をルール化すべき理由
タイムカードの運用ルールがなければ、企業は従業員の労働時間を把握できず、法定時間外労働の上限を守れない可能性があります。労働時間が上限を超えると、企業はペナルティを受けてしまいます。タイムカードの運用ルールを設け、正しく労働時間を記録しましょう。
また、運用ルールに不備があると、企業が損失を受けるリスクもあります。労働審判ではタイムカードの記録を労働時間の根拠とする場合が多く、不正打刻が行われた場合でも残業代を請求される可能性が高いためです。
また、運用ルールを定める際は、打刻のタイミングだけでなく、打刻ミスへの対処法や処罰もルール化しましょう。不明瞭なルールでは、ミスを心配するあまり打刻をしない従業員が出かねません。
打刻に関するルールの一例
正確なデータ取得に向け、打刻に関する運用ルールを決めましょう。ルールの一例を紹介します。
本人による打刻
タイムカードを打刻するのは、カードを所持する本人である必要があります。しかし、紙のタイムカードは扱いが容易である分、なりすましによる不正打刻が起きやすいです。
たとえば、遅刻扱いになるなどの理由で、ほかの従業員に打刻を依頼する人が出かねません。「本人以外の打刻は禁止」とあらためてルール化しましょう。
打刻のタイミング
業務扱いになるイベントと、自主参加のイベントの線引きをしましょう。ラジオ体操、着替え、掃除、各種集会などの活動は、業務に含めるかわかりにくいです。
また、「出勤時にはタイムカードを打刻してから業務に取りかかる」「退勤時には業務を終えしだい、ただちにタイムカードを打刻する」などのルールを決めましょう。特に退勤時には、雑談や休憩をはさまないように、速やかな打刻をするように指導してください。
打刻時間のズレの処理
正確な労働時間の把握のために、打刻時間のズレを申告する方法についてもルール化しましょう。打刻後に残業を命じられた、あるいは出勤後にタイムカードを押す前に仕事を命じられたなどのケースに備えるためです。
たとえば、「15分以上の労働時間のズレは理由の記録を残し、上司に申告する」などのルールを決めましょう。
会社に出勤しない場合の処理
直行・直帰・在宅勤務など、会社に出勤しない場合のタイムカードの運用ルールも必要です。通常の打刻ができないため、何もルールがなければ労働時間の記録が一切残りません。
たとえば、「会社以外で勤務する場合は、基本的に残業はみとめない」「残業する場合は、上司の承認を得る」などのルールを決めておきましょう。
打刻ミスに関するルールの一例
従業員自身が気をつけていても、打刻ミスが発生する場合があります。打刻ミスに関するルールの一例を紹介します。
訂正方法について
「ミスをした部分に取り消し線を引き、本人の手書きにより訂正する」などのルールを決めます。また、紙のタイムカードは簡単に訂正可能なため、不正を抑制するためのルールも必要です。
ペナルティについて
打刻ミスが続くと記録がわかりにくくなり、勤怠管理業務に影響が出かねません。従業員には悪意がない場合でも、ペナルティを決めることで常習化を防ぎましょう。また、一回のミスでペナルティとなるのではなく、ミスの頻度や程度によりペナルティを決めると、本人の反省を促せます。たとえば、「報告書を5枚書いた時点で減給とする」などのルールを定めましょう。
タイムカードの打刻に関するルールは明確に
タイムカードの打刻ルールにあいまいな部分があると、正しい運用ができません。仮に、打刻ミスを手書きで修正するときに「訂正はミスをした本人のみ可能」「訂正後に上司の許可がないものは認められない」などの縛りがないと、不正が誘発されます。
また、直行直帰、中抜けなどをする人が多ければ、単純に出勤と退勤時刻を記録するのみでは正しく勤怠管理ができません。現場の状況を鑑み、実用性の高いルールを作りましょう。
タイムカードの打刻ルールを従業員に順守させるコツ
従業員が打刻しやすい環境や、打刻を促す仕組みを作りましょう。従業員に、タイムカードの打刻ルールを順守させるコツを紹介します。
タイムレコーダーを打刻しやすい場所に設置する
事務所の出入り口など、従業員がストレスなく打刻しやすい場所にタイムレコーダーを設置しましょう。また、打刻前後でカードの収納場所を変えると、打刻をし忘れたカードが一目瞭然です。
可能ならばタイムレコーダーを数台用意すると、混雑する時間帯でも渋滞せずに打刻できます。加えて通路の端など、通行の邪魔にならない場所にレコーダーを設置することも大切です。
毎日の打刻状況をチェックする係を決める
打刻していない人をチェックし、打刻や訂正を促す係を決めましょう。ただし、勤怠管理者が単独で全従業員のチェックをするのは大変です。部署単位でチェックする体制を作り、特定の人に負荷がかからないように、当番制などを導入してください。
張り紙などによる啓発
タイムカードの打刻の重要性を従業員に伝えるために、啓発活動に取り組みましょう。従業員が使うロッカーや廊下などに、タイムカードの意義や、間違えがちな打刻ルールを記した張り紙を貼ると効果的です。上司や勤怠管理者による、チャットツールでの呼びかけも実用的です。
また、従業員自身でも打刻ルールの順守に取り組めます。スマートフォンのスケジュール管理や、リマインダー機能を活用してもらいましょう。
タイムカード以外の勤怠管理方法は?
タイムカードの運用ルールを定めても、勤怠管理がうまくできない場合もあります。しかし、必ずしもタイムカードによる運用にこだわる必要はありません。たとえば、入退室管理システムを検討してはいかがでしょうか。
入退室管理システムとは
入退室管理システムは、従業員の個人のスマートフォンや社員証などを入退出のキーに使う仕組みです。入退出時間が自動的にシステムに記録されるため、勤怠管理が大いに効率化します。タイムカードの運営で感じていた悩みを、解消できる可能性があります。
入退管理システムの導入により、大幅な業務効率化に成功した企業の事例はこちら。
入退室管理システムのメリット
入退室管理システムによる勤怠管理を採用した際に得られる、業務上のメリットを紹介します。
不正打刻の防止
入退室管理システムでは、タイムカードを使いません。個人のスマートフォンや社員証を端末にかざすため、なりすましによる不正打刻を防げます。また、登録した顔写真と紹介する機能が付いたシステムを選ぶと、より厳格な管理が可能です。
労働時間の集計が簡単
入退室管理システムは、自動的にデータが電子化されるため、勤怠管理者の負担が減ります。しかも、入力ミスも起きません。さらに、タイムカードを毎月回収し、新しいカードを配るといった作業も削減されます。特に、複数の拠点のタイムカードを一元管理していた現場では、驚くほど労働時間を削減できる可能性があります。
労働時間のリアルタイム把握
入退室管理システムのデータを見ると、従業員の現時点での残業時間や、休暇取得日数がわかります。労働時間の管理に役立ち、休暇申請や承認が円滑に行われます。
社内システムとの連携が可能
入退室管理システムは、従業員データベースや給与計算ソフトなどと連携できます。役職や資格手当を考慮し給与を計算したり、シフト管理に利用したりなど、入退管理システムは勤怠管理以外でも便利に使えます。
まとめ
タイムカードで労働時間を管理する際は、打刻に関するルールを明確に決めましょう。なお、必ずしもタイムカードによる管理にこだわる必要はありません。入退室管理システムを使う勤怠管理方法も検討してください。
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