企業の勤怠管理担当者のなかには、タイムカードの集計に手間がかかるといった悩みをもつ人も少なくありません。実は、どの作業に手間がかかっているのかで、解決方法が異なります。
この記事では、タイムカード集計の流れや手間がかかる作業、集計の手間を減らす方法、集計方法別のメリット・デメリットなどを解説します。タイムカード集計を見直せば、自社の業務効率アップも目指せるでしょう。
タイムカード集計の流れや手間がかかる理由とは?
タイムカードの集計作業は、勤怠管理を行うためだけではなく、従業員の給与に反映される重要な業務です。集計の流れと手間がかかるといわれる理由を解説します。
勤怠管理の流れは記録・集計・給与計算の順で行う
勤怠管理は、従業員が出退勤を打刻し、タイムカードに記録されることから始まります。タイムカードの集計を行うタイミングは、月末や締め日などの従業員の給与計算が必要になるときです。
集計したデータをもとにして、従業員ごとの給与を計算しなければなりません。この際、通勤手当や社会保険料などの控除額、源泉所得税といった項目ごとに算出します。集計によって従業員の給与が決まるため、計算に誤りがないかの確認が不可欠です。
集計に手間がかかる理由
月末や締め日は、給与計算以外にも多くの業務が発生するため、集計だけに時間をかけられない場合がほとんどです。タイムカードの集計は、従業員の人数が多いほど、計算や確認作業に時間がとられてしまいます。特にテレワークなどの多様な勤務形態に分かれている企業では、集計や計算などの作業がさらに複雑化する傾向にあります。
タイムカード集計で時間がかかる3つの作業
タイムカードの集計は、従業員ごとの労働時間を計算するだけに留まりません。おもな3つの作業について解説します。
1.入力を間違えた箇所の修正作業
手動でタイムカードを集計する場合、集計表などへの入力ミスが起こりやすくなります。とくに、紙のタイムカードでは、判読しづらい数字や文字があった場合、勤務時間との照合に手間取ってしまいます。入力ミスに気づかず、給与や残業代の未払いが発生するケースも少なくありません。
2.従業員の打刻漏れや不正打刻の確認作業
従業員の打刻忘れがあった場合、タイムカードの空白部分と実際の労働時間との差異を確認しなければなりません。本人以外の従業員が打刻できる環境にある場合、不正打刻などにも注意します。とくに、紙のタイムカードでは、従業員側、管理者側の両者で書き換えによる不正打刻が起こりやすいため、不正を防止するための対策が必要です。
3.集計後の保管作業
労働基準法の改正により、タイムカードは5年間の保管が義務付けられています。猶予措置として、当面の間は3年間の保管義務があります。将来的には5年間保管するため、5年分のタイムカードを保管できるスペースや、保管容器などの用意が必要です。タイムカードの集計後は、保管容器に入れて所定の位置に保管するといった手間もかかります。
タイムカード集計で手間を減らす3つの方法
タイムカードの集計の手間を減らす方法は3種類あります。
- エクセル(Excel)やスプレッドシートを活用する
- タイムレコーダーを導入する
- 入退室管理システムに切り替える
それぞれの方法について解説します。
1.エクセル(Excel)やスプレッドシートを活用する
エクセル(Excel)やスプレッドシートの関数機能を活用すれば、手計算の手間を省けるうえに、計算ミスも減らせます。関数を使えば、総労働時間数や残業・深夜勤務の割り増し時間などの計算も可能です。自社にあった集計表を一から作成できますが、表作成の手間を減らすなら、ネット上で無料公開されているテンプレートの活用もおすすめです。
2.タイムレコーダーを導入する
タイムレコーダーを活用する場合、集計機能がある専用の機械が必要です。出退勤などの時刻の記録や自動集計が可能なタイプも販売されています。また、給与計算ソフトと連動できるタイプを導入すれば、給与計算の自動化が可能です。ただし、1台で記録できる人数が決まっているため、従業員数が多い企業では、複数台の機械を買いそろえる必要があります。
3.入退室管理システムに切り替える
入退室管理システムは、従業員の人数が多い企業での集計におすすめです。勤怠の打刻や集計、給与計算ソフトへのデータ移行などが自動で行えます。なかには、人事業務を一元化できるシステムもあります。ただし、ツールやサービスによって利用できる機能が異なるため、自社に必要な機能を見極めておかなければなりません。
人数、機能、利用期間によっては無料で機能が揃った勤怠管理システムを利用することができます。以下の記事も合わせてご覧ください。
タイムカードの集計方法ごとのメリット・デメリット
3つの集計方法のメリット・デメリットを把握したうえで、自社にあう集計方法を選びましょう。
エクセルによる集計
エクセルでタイムカードを集計した場合のメリットやデメリットを解説します。
エクセルのメリット
エクセルは、ほかの2つの方法に比べ、費用をかけずにタイムカードを集計できます。すでにオフィスソフトとして多くの企業で普及しているため、導入を決めても従業員から反発を受けることはないでしょう。また、追加や修正に加え、ファイルの共有が簡単で運用しやすいといった側面もあります。
エクセルのデメリット
エクセルの集計表は、手入力で行う必要があるため、入力ミスが起こりやすいといったデメリットがあります。また、関数や計算式が消えるなどのミスから、計算ミスが発生しやすくなります。働き方改革関連法の施行により、表計算ソフトによる勤怠管理は「自己申告制」に該当するため、ガイドラインに沿った活用が不可欠です。
タイムレコーダーによる集計
タイムレコーダーを導入した場合のメリットやデメリットについて解説します。
タイムレコーダーのメリット
タイムレコーダーは、パソコンや給与計算ソフトなどとの連携機能をもつタイプも多いため、人的リソースの削減につながります。集計時の入力作業の手間や入力ミスも減らせます。打刻ミスがあった場合は、CSVデータで出力できるうえに、確認後にパソコン上でのデータの修正も可能です。
タイムレコーダーのデメリット
タイムレコーダーの導入には、専用の機械が必要なため、初期費用がかかります。それに加えて、紙のタイムカードを保管するスペースの確保や、保管容器の購入などのコストが必要です。紙のタイムカードを使用するため、不正打刻などの改ざんのリスクを解消できません。なかには、不正を防ぐ機能付きのタイムレコーダーもありますが、さらに高額なコストがかかります。
勤怠管理システムによる集計
勤怠管理システムを導入して集計した場合のメリットやデメリットを解説します。
勤怠管理システムのメリット
勤怠管理システムは、従業員が打刻したと同時にシステム上にデータが自動で転送されるため、不正がしにくいといったメリットがあります。人の手を介した入力作業が不要なため、人的なミスを減らせます。
多様な勤務形態にも対応でき、テレワークや24時間フル稼働などのさまざまな勤務形態がある企業におすすめです。また、最新の法令に対応しているため、税関連の計算も簡単に行えます。
勤怠管理システムの導入により、大幅な業務効率化に成功した企業の事例はこちら。
勤怠管理システムのデメリット
勤怠管理システムの導入には、初期費用がかかります。また、年間や月額料金などのシステム利用料のほか、機能などのカスタマイズによる追加料金が発生する場合もあります。自社の勤務形態にあわせたシステムの構築や導入を行うには、人員や時間なども必要です。費用対効果が見えにくいため、上層部の許可を得にくいといったデメリットもあります。
タイムカードを集計するときに注意すべきこと
タイムカードの集計は、人の手が加わるほど人的なミスが発生しやすくなります。ここでは、集計作業を行う担当者が注意すべきことを解説します。
タイムカードの保管や管理を疎かにしない
タイムカードは、労働の対価として従業員に給与を支払ったことの証明になる重要な書類です。労働基準法の改正によって、5年間の保管義務が設けられていますが、当面は3年間の保管義務を守る必要があります。
集計作業を手入力で行えば、ミスが起こりやすくなり、管理が煩雑になることも予想されます。管理を怠った場合、給与の未払いなどのトラブルにも発展しかねないため、細心の注意が必要です。
自社の課題や問題点を洗いだしたうえで必要なツールやサービスを活用する
有料のツールやサービスなどを自社に導入するなら、自動化したい業務を明確にしておくことが大切です。勤怠管理を行う担当者だけでなく、出退勤を打刻する従業員が扱いやすいかどうかも選定時のポイントになります。また、機能の充実度よりも、自社で活用する機能に見合った費用であるかも考慮したうえで、必要なツールやサービスを選定しましょう。
「従業員の勤務状況や業務状況を把握できていない」という課題を一つのシステムで解決した企業の事例もあります。詳しくはこちら。
まとめ
タイムカード集計を手動から自動化に切り替えることで、人的なミスを減らせます。どの方法を選ぶ場合でも、費用に見合ったツールやサービスを見極めましょう。なかには、勤怠管理がしやすく、低コストのシステムもあります。
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